奥州・金ケ崎

金札米原点実り期待 陸羽132号手植え 作付け100年・江刺の団体【奥州】

米寿の男女らが陸羽132号を手植えした江刺金札米発祥の里百周年記念事業田植え祭り

 奥州市江刺の稲瀬農業の未来を考える会(廣野次雄委員長)は10日、「江刺金札米発祥の里百周年記念事業」の田植え祭りを同市江刺稲瀬の学童農園水田で開き、10アールの水田に江刺金札米の原点となった品種「陸羽132号」を手植えした。同会では10月に稲刈り祭り、11月に収穫祭を予定。100周年を契機に、地域の主産業である稲作農業を未来につなげていく気運を盛り上げる考えだ。

 陸羽132号は1915(大正4)年農林省農業試験場陸羽支場で育成、江刺産米の名声を全国に響かせた品種。稲瀬地区出身の故岩淵直治が普及に貢献し、宮沢賢治が冷害に強い品種として推奨していたという。21(同10)年に命名された後、江刺で普及が進み、62年まで栽培された。

 江刺産陸羽132号は24年(同13)、各地の品評会で優勝。翌25(同14)年には東京深川市場で高評価を獲得し、日本最高値で販売。同年4月から赤い札を付けて出荷し、江刺赤札米として知られた。他産地でも同様に赤札を付け始めたことから、30(昭和5)年には金札を付けて販売開始し、江刺金札米が生まれた。その後、品種は時代の流れにより、ササニシキ、ひとめぼれへと変わった。

 2021年は、陸羽132号が江刺で作付けされて100年目で、稲瀬地区では同会が中心となって記念事業を計画し、田植え祭りは第1弾となった。

 同地区センター駐車場で開会セレモニーが行われ、廣野委員長、樋口研一稲瀬地区振興会長が「これを契機に、稲瀬の農業の未来を明るいものにしていきたい」とあいさつ。江刺金札米の歴史が紹介された。

 地区内の米寿の男女、陸羽132号の種もみを寄贈した一関市の市民団体里山ジャパン、ホームタウン活動としてライスプロジェクトに取り組んでいるサッカーJ3いわてグルージャ盛岡のスタッフが長靴で田んぼに入り、15センチほどに育った苗を植え付けた。

 手植えは久しぶりという農業安部直佑さん(88)=同市江刺稲瀬=は「100周年は感慨深い。立派なコメに育ってほしいと願っている」と話した。苗を育てた廣野勝司さん(77)=同=は「陸羽132号の苗を育てたのは初めてだが、ひとめぼれと比べると育ちが早い。ひとめぼれ、金色(こんじき)の風と食べ比べたが違いは色ぐらいで大差ない」と語った。

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