北上・西和賀

西和賀でほっとして Uターンオーナー 相次ぎカフェ開業

友人の玉山純也さん(左)らと手作りで内装を仕上げた「111coffee」

 西和賀町内に今春、カフェ2店が相次いでオープンした。ともに帰郷したオーナーが開業し、古里を盛り上げようと連携する。自然豊かなロケーションで提供されるコーヒーや料理が、地域住民、観光客のリラックスタイムを演出する。


111coffee 佐藤義さん
▲自家製ブレンドコーヒーを入れる佐藤さん

 香味豊かなこだわりコーヒーを満喫できる「111coffee」は、キャンプ場やアスレチックを備えた同町間木野の焼地台公園内に店を構える。店主の佐藤義さん(32)=同町川尻=は県立北上翔南高校を卒業して上京。8年間の音楽活動などを経てカナダへと渡り、自然を敬う文化に感銘を受けて地元西和賀の良さを見詰め直した。

 郷土に戻ってから自家焙煎(ばいせん)したコーヒー豆の販売を始め、1日に店をオープン。3種類の豆をブレンドするコーヒーは生豆の状態で一粒一粒厳選し、ロースト前にお湯で洗うなど手間を惜しまない。ノンカフェインコーヒーやラテ、生ビール、自家製ジンジャーエール、フルーツジュースなど多様なニーズに応えるドリンクメニューをそろえ、佐藤さんの母親お手製のベーグルも人気を集めている。

 内装は友人たちの協力による手作りで、オープンキッチンや棚を製作し、壁材を塗って仕上げた。「自然がいっぱいの空間でコーヒーを飲んでもらえることがうれしい。アウトドアを楽しみに来る人だけでなく、地元の人たちにも普段の息抜きの場所として使ってもらいたい」と佐藤さん。今後は町民が参加できるフリーマーケットや音楽イベント、たき火イベントなど「日常を抜け出せるさまざまな仕掛け」を思い描く。


カタカゴ・ヒルズカフェ 中村ひとみさん
▲「カタカゴ・ヒルズカフェ」を営業する中村さん

 同町沢内川舟の「カタカゴ・ヒルズカフェ」は、中村ひとみさん(56)が生家を改修して4月11日に開店した。化学調味料や輸入食材を極力使わず、ハーブやスパイス、蜂蜜を生かしたビストロ風料理でリピーターを増やしている。

 中村さんは県立西和賀高校を卒業後に上京し、デザインの勉強や米国留学を経験して外資系の仕事に就いた。東日本大震災を契機に人生観が変わり、子供の頃から好きだった料理をなりわいにすることを決意。滋賀県で古民家カフェを6年間経営し、昨年11月に地元に戻り開店準備を進めた。

▲米粉のガトーショコラ

 静けさと緑の中でくつろいでもらうことをコンセプトに居間や座敷、縁側などに10席余りを設けた。ランチは日替わりプレートや台湾風まぜそば、グリーンカレー、担々麺など。コーヒーやハーブティーのほか、米粉のガトーショコラなど手作りデザートも好評だ。メニューは電話予約でテークアウトにも対応する。

 安ケ沢かたくり群生地の近くとあって、カタクリの古語「カタカゴ」を店名に。滋賀でも花やハーブを育てていたという中村さんは「いろいろな植物を目でも料理でも楽しんでもらいたい。将来はドッグランやイングリッシュガーデンの整備などもやってみたい」と構想を膨らませる。


町の盛り上げへ連携

 「111coffee」の営業時間は午前10時から午後6時までで水、木曜日が定休。「カタカゴ・ヒルズカフェ」は午前10時30分から午後4時(ラストオーダー3時)までで休店日は月、金曜日。

 昨年7月に同町川尻にオープンした「ネビラキカフェ」(瀬川瑛子店主、月、火曜日定休)を加えた3店が休みをずらすことで、町全体で観光客を受け入れる体制にしており、佐藤さんは「それぞれの店のスタイルで町外の人たちの受け皿となり、選択肢のある町になればいい」、中村さんは「観光地には飲食店が必要。西和賀のカフェ文化を持続可能なまちづくりにつなげたい」と思いを語る。

 「111coffee」はインスタグラムで情報発信している。「カタカゴ・ヒルズカフェ」の問い合わせは050(1565)0262へ。

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