萬の交友焦点当て 作風変遷たどる 記念美術館企画展 1925年制作戯画も初公開【花巻】
萬鉄五郎記念美術館(中村光紀館長)の企画展「つながるひろがる萬鉄五郎展」は、花巻市東和町土沢の同館で開かれている。同町出身で日本近代絵画の先駆者として知られる萬鉄五郎(1885~1927年)の交友関係にスポットを当て、交流を通して生まれた作品や画風の変遷などを紹介している。7月4日まで。
128点を展示。少年期、美術学校時代、土沢在住時代などに分け、それぞれの時代で親交が深かった人物や作品を解説している。
同町出身の小田島孤舟(1884~1955年)は、萬の小学校時代の同級生。画家を目指していたが、萬の画才を目の当たりにして画家の道を断念したといわれる。展示では萬の描いた小田島孤舟の肖像画が展示され、小学生時代のエピソードも紹介している。
水彩画家大下藤次郎(1870~1911年)との関わりでは、大下の著書で明治期に発刊された「水彩画之栞」に萬が大きな影響を与えたことを説明。萬が描いた「アメリカ風景」「早稲田風景」などの水彩画のほか、水彩画之栞、木下の水彩画「風景 秋の野」も並ぶ。
1925(大正14)年に制作された戯画「茅ケ崎に参上 森田勝と小生(原精一) 裸の先生に対応される図」は、2020年度に同館が購入。学生が萬の画室に訪れた場面を、墨を用いコミカルなタッチで描いており、一般公開されるのは今展が初となる。
同館の平澤広学芸員は「作風が変化する萬鉄五郎の作品は、多くの人の交流や教えに大きな影響を受けていることが分かる」と語っている。
開館時間は午前8時30分から午後5時まで(入館は4時30分まで)。入館料は一般500円、高校生・大学生300円、小中学生200円。
問い合わせは同館=0198(42)4402=へ。
