花巻

まん福跡地活用「市場性低い」 利用含め地域と協議 花巻市 

 花巻市は1日、中心市街地の吹張町にある旧料亭「まん福」について、民間事業者による解体後の跡地活用について「市場性は極めて低い」と判断した調査結果を公表した。今後建物の解体は予定通り進め、跡地は市が維持管理を行い、活用策については暫定的な利用を含め地域と協議しながら検討する方針だ。

 まん福は1935(昭和10)年建築の老舗料亭として繁盛した建造物。市は2013年度、所有者から土地代5800万円、建物は無償で譲り受けて再利用を検討したが、耐震改修や消防設備等に多額費用がかかるため見合わせ、活用されずにきた。

 19年度には建物の利活用について民間事業者にアイデアを募ったが、有効な提案がなく解体の方針を決定。今年に入ってからは解体後の跡地について、サウンディング型市場調査を実施し、民間事業者のアイデアを募っていたが、参加事業者が1社のみで今後も市が期待するような事業提案が出てくる可能性は低く、解体後の跡地活用の市場性は極めて低いとの結論に至った。

 市が市議会議員説明会で示したまん福の利活用方針によると、専門家の意見を踏まえ、絵画や工芸品等のうち花巻ゆかりの画人の絵画など35種類65点については市博物館資料として収蔵する考え。

 建物に使用されている部材のうち黒檀(こくたん)や紫檀(したん)などを加工使用した床の間、天井部の杉丸太、いろりの自在鍵や岡持ちなど工芸品9種類15点、庭にある自然石を活用した山灯籠など石灯籠4基、手水鉢1基など価値があると思われるものについては公売、それ以外は撤去・処分する。

 大広間天井に使用の「屋久杉」については現物を確認したところ、厚さ数ミリの屋久杉と合板を貼り合わせたもので材料としての価値はなく再利用は不可能と判断、撤去・処分することにした。

 公売は2回実施する予定で市民を優先し、不成立の場合には市外の人を含めた公売を実施する。

 今後は、部材活用のため丁寧に解体を進める必要があることから解体工事設計の再積算を行い、9月にも解体工事に着手、年内の完了の見通し。市民向けの公売は来年1月を見込む。

 市契約管財課では「(民間資金による利活用の)可能性も想定したが取り上げることができる提案がなかった。今後の活用は地域の方々とともに検討していく」としている。

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