一関・平泉

最優秀アジア映画賞受賞 「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩」 芸術性、娯楽性高く評価【一関】

映画「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩」のポスター

 一関市地主町のジャズ喫茶ベイシーと店主の菅原正二さん(79)の生きざまを追った映画「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(バラード)」は、5月に韓国で開催された第22回全州国際映画祭シネマフェスト部門で上映され、NETPAC AWARD(最優秀アジア映画賞)を受賞した。多国籍の審議員により芸術性が高く娯楽性に優れた映画に贈られる賞で、星野鉄也監督は「スタッフと菅原さんみんなで取った賞。うれしかったが賞は頭になく、人ごとのよう」と戸惑いながらも受賞を喜んでいる。

 同作は星野監督の映画監督デビュー作で、自ら機材を担いで同店を訪れ、菅原さんがこだわり抜いたオーディオシステムで生み出す「唯一無二の音」を収録。菅原さんのインタビューとともに、世界的ジャズミュージシャンらが惜しげもなく登場する。同店に程近い映画館・一関シネプラザでも2020年9月から上映され、人気を博した(現在は終了)。

 当の菅原さんは観賞こそしたものの、映画の内容や今回の受賞について「監督と亀山(千広)さん(同作のエグゼクティブプロデューサーを務めたBSフジ社長)に任せているし、何とも思っていない」と無関心の姿勢を貫く。

 同店は新型コロナウイルス感染予防策として20年3月から休業している。客は入れないが店にはたまに来るようにしているといい、「やっぱり放ってはおけない。花には水を」と音響のメンテナンスは欠かさない。上映後連日かかってくるという全国からの問い合わせの電話には「関西など西の方からが多い。コロナだから開けるのは無理とはっきり言っている」。

 同作は今年のハワイ映画祭や北アイルランドの映画祭、韓国音楽祭での上映も決まっているといい、星野監督は「日本では当たり前にあるジャズ喫茶は、海外では珍しい。ドイツやスウェーデンなど名盤が生まれるところに出しても面白いのではと菅原さんと話している」とさらなる広がりに意気込んでいる。

▲並んで写真に納まる菅原さん(左)と星野監督(同店提供)

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