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刺し子生地のダウン 京屋染物店(一関)などと開発 宮古・縫製会社

刺し子生地を表地に使用したダウンジャケットをPRする(右から)小林代表取締役、蜂谷専務取締役ら

 宮古市の縫製会社クラスター(小林晃代表取締役)は、一関市の京屋染物店(蜂谷悠介代表取締役)、盛岡市の幸呼来Japan(石頭悦代表取締役)と連携し、新たにダウンジャケットを開発した。本県の縫製技術や伝統工芸がコラボレーションした商品で、ファクトリーブランドの新商品として注目されそうだ。

 国内販売されているダウンウエアのほとんどが海外製で、クラスターは数少ない国産ダウンの専門縫製工場として国内外のメーカーやファッションブランドの生産を請け負ってきた。

 しかし、新型コロナウイルスやアパレル業界不況などの影響により受注が減少。再起策として、2月に自社ブランド「Hayachine Made(ハヤチネ メイド)」を立ち上げ、オリジナルダウンを発表した。

 そんな中、県内アパレル業界のファクトリーブランドの開発などを県が支援する「イワテ メイド アパレル プロジェクト」に参加していた京屋染物店がクラスターに話を持ち掛け、今回のダウンジャケット開発につながった。

 ジャケットは、表地に職人の手で染められた京屋染物店の刺し子生地を使い、幸呼来Japanからは京屋染物店の余り布から作った「裂き織」の提供を受け、内ポケットとして取り付けた。

 表面に凹凸のある刺し子生地は職人の手で深みのある藍色に染められており、独特の風合いとシンプルなデザインはビジネスシーンにマッチしそうだ。

 21日、県庁に保和衛副知事を表敬訪問した小林代表取締役は「3社が協力し、オール岩手で作った商品。これを機会に全国の珍しい素材でダウン商品を作り、岩手から発信したい」、京屋染物店の蜂谷淳平専務取締役は「火消しのはんてんや寒さをしのぐ防寒着として使われていた刺し子という昔の素材が、現代の防寒着という新しい価値を持ったことがうれしい。使い込んで味わい深くなる商品なので、お客さまに商品価値を育ててほしい」と意気込みを語った。

 価格は1着7万7000円(税込み)。26日まで盛岡市のパルクアベニュー・カワトクで実物を展示し、注文を受け付けている。

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