奥州・金ケ崎

奥州・金津流石関獅子躍 地元での公演継続 躍動の舞を継ぐ父子、伝承の力に

踊り終えて笑顔を見せる小原保幸さん(左)、誠心さん親子

 県内各地で伝承される鹿踊(ししおど)り。鹿踊りのうち、太鼓を自ら打ち、歌い踊る太鼓踊系と呼ばれる金津流。その本県における祖が奥州市江刺の金津流石関獅子躍(おどり)だ。戦後に途絶えた後、平成に入って復活。再興を担った14代メンバーは「自分たちを超える存在になってほしい」と、次の世代へ伝承のバトンを託す。

 7月中旬の昼下がり。江刺稲瀬の石関集落にある熊野神社に若手メンバーの姿があった。春の例大祭で奉納する舞を雨で見合わせたため、代替として機会がつくられた。道太鼓に始まり、鳥居前でほめ歌を披露。境内に上がると、8人の踊り手がササラを揺らして「礼庭」を舞った。

 鹿をまねたしぐさに、軽快な太鼓のリズム。躍動する8頭の中で、ひときわ軽やかに跳ぶ鹿の姿があった。15代の雌鹿(めじし)、小原誠心さん(17)=岩谷堂高校3年=。チーム最年少で、高校でも鹿踊部に入っている。14代の側鹿(がわじし)として活躍する父保幸さん(46)の背を追って中学3年時に加入。父の手ほどきを受けてめきめきと力をつけ、次世代を担う一人として期待されている。

 この日は休んだメンバーの代わりに、保幸さんが助っ人として参加。踊り終えて「暑かった」と汗を拭う息子に、保幸さんは「一人前に踊れるようになってきたな」と目を細めた。

 復活から20年。石関獅子躍では、習得した7演目を若手に伝えるべく週2回の練習を続けている。コロナ禍で多くの観客を集める百鹿大群舞が2年続けて中止されるなど公演の機会は減っているが、8月は例年通り盆供養を行う。「学んできた全てを次の代に伝えたい」という保幸さんの思いに応えるように、「父の型を目指して鍛錬したい」と誓う誠心さん。親子で伝承の舞を令和につないでいく。

公演情報

 奥州市江刺鹿踊保存会は、8月1日から10月31日までの毎週日曜日(9月19日を除く)、奥州市江刺の歴史公園えさし藤原の郷で江刺鹿踊の定期公演を行っている。毎回1団体が出演し、1日2回公演する。時間は午前11時からと午後2時から。観覧料は入園料のみ。

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