花巻

花巻の伊藤染工場 花巻まつりのはんてん製作 「印」の下に再び集まることを願って

花巻まつりの参加団体が着用するはんてん

 歴史と伝統を誇る「花巻まつり」の神輿(みこし)パレード。そこで着用されるはんてんの多くは、地元の染色業、伊藤染工場(花巻市藤沢町)で作られたものという。花巻まつりの神輿、山車の運行が2年続けて見送られ、工場も繁忙期とは程遠い状況。昨年、まつりの代替行事としてはんてんの展示を行った伊藤純子社長(62)は「今年もできないことは本当に残念。安心してまつりができる日が早く訪れてほしい」と思いを語る。

 花巻まつりは市民にとって秋の一大行事。3日間の会期中は大勢の人がまちに繰り出し、神輿や山車、郷土芸能、花巻ばやし踊りの出し物を楽しむ。まつり衣装として欠かせないのがはんてん。作る人によって色、柄などにこ小太鼓演奏体験して9月に「花巻まつり展示会」だわりがあり、通常であれば7~9月は製作で大忙しの時期という。そうして迎えるまつり本番には、新調したはんてんを着た姿を見せに来る人もいて、伊藤社長は「皆さんの笑顔や『ありがとう』の言葉に元気をもらってきた」と話す。

 印の下に人が集うという意味を持つ「印染め」。伝統の染め技法で作られる祭りはんてんは、単なる衣装を超えて人々を結び付ける役割も担ってきた。今年の花巻まつりは規模を縮小して9月11、12の両日に開催。はんてん展示の企画は実行委員会が引き継ぎ、昨年同様、鳥谷崎神社社務所で約100着の展示を見込む。

 コロナ禍で全国のまつりが中止され、今年も同社へのはんてん注文はごくわずか。伊藤社長は「昨年は注文が入った上での取り消しだったが、今年は完全に止まった。作るところも『今年は着ないから急がないよ』と言われるのが切なくて」と現状を嘆く。願いは一つ、みんなが笑顔でまつりを楽しめる状況になること。神輿運行で活気づくハレの日を待ちながら、伝統の技法を継いでいく。

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