花巻

多彩な題材鮮やかに 阿部正介さん 切り絵制作30年【花巻】

30年以上にわたって切り絵を作り続けている阿部さん
阿部さんが制作した早池峰神楽の切り絵

 花巻市南諏訪町の阿部正介さん(70)は、30年以上にわたって切り絵制作を続けている。エジプト文化や早池峰神楽、鬼剣舞、高山植物などさまざまなモチーフから色鮮やかな作品を作り出す。定期的に市内の図書館や公共施設などで展示会を開き、市民らに切り絵の魅力を発信している。

 1985年ごろから作品作りを始め、独学で技術を習得してきた。2012年からは市内の図書館やなはんプラザなどで個展を開いているほか、同市花城町のまなび学園で切り絵の指導にも取り組んでいる。

 アトリエは自宅で、道具は2本のデザインカッターナイフを利用。色紙は市内の文房具店で購入したものを使用する。作品はA3、A4サイズで、1作品を1週間ほどかけて完成させる。「特別な道具を使わなくても、誰でも手軽に始められるのが切り絵の魅力でもある」と笑顔を見せる。

 題材は鹿踊(ししおどり)、神楽、エジプト文化など多彩で、雑誌や研究書などに掲載された写真を参考にする。さらに「作り始める前に、その題材の歴史や背景などを調べるようにしている。題材をよく知れば、作品の深みも増す」というこだわりがある。

 作品に立体感を出すために髪の毛や服のしわなど細かく再現するといい、「服のしわは写真だけでは分からないことも多く難しいが、それを加えるだけで作品に立体感が出てくるし、見栄えも変わってくる」と強調する。

 早池峰神楽をテーマにした切り絵を作りを終え、現在は宮沢賢治の童話「猫の事務所」「北守将軍と三人兄弟の医者」をモチーフにした作品を創作している。

 阿部さんは「童話の作品作りが終わったら、賢治のゆかりの地をテーマにした切り絵を作りたい」と創作意欲を高めている。

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