北上・西和賀

すくすく成長優雅に飛行 県内初自然繁殖 新堤のオオハクチョウ 誕生から3カ月【北上】

生後3カ月で初飛行した幼鳥。羽を広げ、元気よく水面から高さ2~3メートルを飛んだ=8月15日、いずれも日本野鳥の会北上支部・征矢和宣さん撮影

 北上市相去町の白鳥飛来地・新堤で5月に誕生したオオハクチョウの幼鳥が8月に入り、飛行を始めた。県内初で、国内でも珍しいオオハクチョウの自然繁殖例とされたひな3羽が無事に成長。見守ってきた愛好者は目を細めつつ、秋から来春にかけて幼鳥の動向にも注目していく。

 羽を負傷しロシアに渡れず新堤一帯に長年居着いているつがいが今春に営巣、産卵、抱卵し5月中旬にひな4羽が誕生。うち1羽は間もなく猛禽(もうきん)類に襲われたが、残る3羽は順調に育った。

 観察を続けてきた日本野鳥の会北上支部の征矢和宣さん(74)=同市滑田=によるとこれまで親鳥2羽、幼鳥3羽が餌探しや水浴び、休憩など家族仲むつまじい光景がみられたという。徐々に体つきも大きくなり、換羽が進んだ。「3日おきぐらいに来て見ると全然違い、たくましさを増している」と成長の早さを実感。8月に入ると体格は親と遜色なくなり、15日に初飛行を確認。水面から高さ2、3メートルで70~80メートルほど飛んだという。

 数年前から一帯では卵は確認されていたが、ふ化した事例はなかった。今回は人などが近づけない湿地帯で営巣され、冬に多かった雪の重みで水辺の草が倒れて抱卵、ふ化に適した環境だったとみられる。一帯で長年、野鳥を観察し続けてきた愛好者らにとっては悲願だったという。

 オオハクチョウの産卵、ふ化、育児は本来北方のロシアで行われ、国内ではまれ。征矢さんは「大変貴重な観察ができた。順調にいくか心配だったが、よく育ってくれた。ここまで来ればもう大丈夫だろう」とまずはひと安心のよう。誕生が報じられて以降、各地から多くの人々が新堤に見学に訪れたが、「皆さんが優しく見守ってくれたおかげ」と感謝する。

 例年10月20日ごろから、北方からオオハクチョウ、コハクチョウが新堤一帯に渡来し来春、また北方へ戻る。征矢さんは「この3羽が来春、親元を離れ他のオオハクチョウと共に北方へと飛び立つのか。最後まで見届けたい」と語る。

 ただ、一帯には幼鳥の親鳥を含め羽のけがなどで毎年北方へ行かずに残るつがいが数組あり、来年以降も繁殖が期待されている。

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