北上・西和賀

「大事な人に感謝して」 笹原さん(納棺師)が講話 北上翔南高

社会に出る心構えや死生観などを語る笹原さん

 県立北上翔南高校(寒河江和広校長、生徒555人)の1年生178人を対象とした学習「産業社会と人間」は25日、北上市相去町の同校で行われ、復元納棺師で同市の桜代表取締役の笹原留似子さん(49)が自らの仕事や職業観、社会で大切なことなどをテーマに講話した。

 笹原さんは納棺師、復元師の仕事について資料写真や映像を交えて説明。東日本大震災後、損傷した遺体を元の状態に戻すボランティアとして300人以上を見送ったといい、「安置所で思い出したのは、マザー・テレサの『どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ一つ一つのことに心を込められたのか』という言葉。自分が今できることを探して一つ一つ対応していくしかないと思った」と振り返った。

 自らの役割については「自分の家族が白骨化していたとしたら、もう一度会いたいと思うはず。その家族の思いに応える技術がある。笑顔をつくるのではなく戻す。それによって遺族が励まされる」と語った。

 生徒に対しては、年を取ると誰もが大事な人を亡くす経験をするとした上で「大事な人が死んだとしても、それで全てが終わりではない。その人と過ごした時間は宝物。関係性は変わらない」と強調。「失った時の『悲しい』という感情の深さは、その人、物が大事な存在だったということを示している。『ありがとう』の言葉を掛けてほしい」と呼び掛けた。

 生徒代表の髙橋歩莉さんは「学生時代に学んでおくべきことはたくさんあり、特にコミュニケーション能力や自分をコントロールできるようになることが大切だと教わった。これからの生活の中で、たくさんの経験を積み、自分以外のことも考えて行動できるようになりたい」と感想を話していた。

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