北上・西和賀

環状交差点を導入 渋滞緩和、事故防止へ 県内3例目 北上工業団地

 北上市は、北上工業団地内の市道で信号のない丸い形をした環状交差点(ラウンドアバウト)整備に乗り出している。県内では3例目の環状交差点で、2023年春の利用開始を計画。同団地内で半導体大手・キオクシア岩手2棟目の用地整備工事が進み将来的な交通量増加が見込まれる中、交通渋滞緩和と事故防止を図る。

 環状交差点は南北の市道成田黒沢尻線、東西の飯豊東部幹線3号線が交わる三角形上の現交差点を改良。東側には同団地と北上駅東口方面を結ぶ「産業道路」の市道川原町南田線が通り、キオクシア岩手立地などで交通量は増加傾向にある。

 現在の交差点の交通量は南北が主で、東西方向に一時停止線がある。キオクシア岩手の2棟目が稼働し関連企業がさらに立地した場合、東西も相当増えると見込まれ、現状の一時停止では朝夕の混雑時はかなりの待ち時間を要し交通渋滞の恐れや事故の増加が懸念されていた。

 市は警察との協議で信号機設置は難しく、丁字路交差点よりも現在の三角形状を生かした環状交差点が交通の円滑化と事故防止には有効と判断。さらに災害等による停電時でも、信号がなくスムーズに通れるメリットがあるとして環状交差点の導入を決めた。

 21、22年度の2カ年事業で、総工費は約2億5000万円。まず中心部にある植栽を伐採、撤去して環状の中央島を造成し、3方向のうち1方向の取り付け道路を整備している。現在も周辺では片側交互通行規制を敷いているが、全面通行止めはしない。

 22年度に残る2方向の取り付け道路や付属工事を行い、3方向の外側には横断歩道も設置。同年度末の工事完了、遅くとも23年4月の利用開始を目指す。

 環状交差点は県内では宮古市と大船渡市に設置。北上市で導入されれば本県内陸部で初となるが、一般にはなじみが薄いだけに市議会からは「サークル上で一時停止してかえって渋滞するのでは」「相当な周知が必要」など懸念する声も出た。市側は「キオクシア複数棟を見据え、今やるべきと判断した」と説明する。

 市道路環境課の渡辺和行課長は「渋滞緩和と対面での事故抑制につながり、停電時でも機能低下を招かない交差点となる。これらの強みを生かせるよう、着実に整備していきたい」と話している。


 環状交差点(ラウンドアバウト) 信号機のない丸い形の交差点。サークル内の環道を走行する車両が優先で、時計(右)回りの一方通行。入出口は複数箇所に設ける。交差点に入る車両は環道の車両を確認した上で進入し、車がいれば一時停止する。環道では出ようとする出口の前で左折の合図を出して、左折する。

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