北上・西和賀

土砂災害から命守れ 北上地方で県総合防災訓練

土砂に埋もれた車両の救助訓練に当たる参加者=4日、北上市・北上総合運動公園

 県総合防災訓練は4日、北上市内と西和賀町内で行われた。新型コロナウイルス感染拡大、県独自の緊急事態宣言発令に伴い規模を縮小。関係機関の参加者は大雨時の土砂災害を想定して懸命に救助や救護、搬送に当たり、避難所開設・運営などに連携して対応。本県でも東日本大震災(2011年)や台風10号(16年)、台風19号(19年)といった大規模災害が頻発する中、万が一の事態に備えた。【社会面に関連】

 県総合防災訓練は53回目で、北上地方では03年以来18年ぶり。和賀川上流域で雨が降り続き、上流域の西和賀町内で土砂崩れが発生、下流域の北上市内でも土砂災害により家屋や道路などが損壊し死傷者が出たとの想定で行った。

 消防や警察、両市町、県、陸上自衛隊など主に「公助」を担う30機関から約440人が参加。感染リスクを考慮し住民避難訓練、医療・保健関係の訓練や防災資機材展示を取りやめ、災害対応で必須の37訓練に取り組んだ。

 市内は北上総合運動公園など、町内は湯田小学校、湯田農業者トレーニングセンターなどで実施。北上総合運動公園では土砂崩落で倒壊した家屋、埋もれた車両から北上地区消防組合の救助隊がエンジンカッターなどを駆使して迅速に倒木を切断し、土砂をかき分け懸命に活動。災害救助犬も出動し、土砂中の生存者確認に当たった。

 現場の状況確認へドローン(小型無人飛行機)も活用。傷病者の治療の優先度を判断するトリアージも行われ、外国人へのスムーズな応対に努めた。

 避難所開設訓練では、市職員や関係者が幼児や子育て中の女性、体調不良者、性的少数者らの多様なニーズに配慮した運営を確認。最悪の事態にも備え、警察や歯科医師らが遺体の検視や歯形照合、身元確認、引き渡しの作業に連携して対応した。

 統監の達増拓也知事は「厳しい制約の中、感染症対策をしながら関係機関が連携し円滑に実施していただいた。地元の皆さんが最新の防災体制で工夫して対応され、頼もしく感じた」と講評。「今回の成果や課題を持ち帰り、防災対策に役立ててほしい。住民にもハザードマップの点検を」と求めた。

 副統監で北上地区消防組合の菊池洋幸消防長は「普段、連携の機会が少ない関係機関と相互に理解し合いながら活動できた」と成果を語った。

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