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クマ出没相次ぐ 市街地で人身被害も 秋以降の増加懸念 県が注意喚起【岩手】

 ツキノワグマの出没が県内各地で相次いでいる。8月下旬以降は市街地での人身被害や、米などの食害も発生。今秋はブナの実の凶作が予測されており、県は餌を求めて人里に現れる可能性が高まるとして、県民に注意喚起している。

 県や県警によると、2021年度の人身被害は12件(5日現在)。うち3件は8月下旬以降に発生した。具体的には、8月30日に西和賀町川尻の錦秋湖畔公園で高齢男性が襲われて負傷。今月2日には奥州市水沢の市街地で高齢男性が背中を引っかかれたほか、近くのコインランドリーでガラスを割られる被害があった。5日には北上市和賀町で散歩中の高齢男性が襲われ、顔などにけがを負った。一関市厳美町では、8月29日と今月1日に作業小屋のもち米や飼料が荒らされる物的被害が発生している。

 過去の出没状況を見ると、17年度の2585件から年々増加。昨年度は3316件と過去最多を更新した。今年度は1687件(7月末現在)と現段階で平年並みの状況だが、ブナの実の凶作が見込まれているため、秋以降の出没リスクが高まっているという。

 県は山菜採りや登山シーズンは注意が必要だとして、入山の際は複数人で行動し、鈴など音の出る物を携帯するよう推奨。クマが人里に下りる危険性もあるため、▽廃棄野菜や生ごみの管理を適切に行う▽農地周辺のやぶの刈り払いをして見通しを良くする▽電気柵の設置▽庭先の果樹等の速やかな収穫―などを促している。

 人と遭遇したクマは驚いて攻撃行動に出ることがあるといい、県自然保護課の担当者は「農作業中や散歩中の人が襲われるケースもある。撃退スプレーを携帯するなど、対策を取ってほしい」と呼び掛けている。

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