花巻

イギリス海岸 水面から確認 北上川【花巻】

賢治がイギリス海岸と命名した河床の泥岩層。水位が下がり水面から確認できるようになった=21日午後3時すぎ

 詩人で童話作家の宮沢賢治が「イギリス海岸」と名付けた花巻市上小舟渡の北上川で21日、河床の泥岩層が水面から確認できるまで水位が下がった。同日は賢治の命日で晴天にも恵まれたことから、イギリス海岸を一目見ようと訪れたファンが川岸を行き交った。

 イギリス海岸はイーハトーブの風景地の一つで、ドーバー海峡の白亜の海岸に似ていることから賢治が名付けた。同市の北上川と瀬川の合流地点付近で、水位が下がった時にだけ顔を出す。

 市は賢治の命日に合わせ、ダムの放流調整や発電所の取水調整により河川の水位を下げることで、賢治がイギリス海岸と命名した河床の泥岩層の出現を試みている。2007年に始まり、今年の出現の試みは新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止したものの、21日午後には水面から河床がうっすらと見えるまで自然に水位を下げた。

 同日は早朝から青空が広がり、イギリス海岸を見渡せるお休み処(どころ)・くるみの森や川沿いの遊歩道には近隣の賢治ファンが来訪。河床の出現には至らなかったが、「水が澄んで岩盤がきれいに見えた」「穏やかな川の流れに心も洗われたような気になった」などと思い思いに賢治ゆかりの風景を楽しんでいた。

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