奥州・金ケ崎

救急活動改善に尽力 DNARプロトコール推進 業務功労者 総務大臣表彰を受賞 川村秀司・県立江刺病院長【奥州】

2021年度救急功労者の総務大臣表彰を受けた県立江刺病院の川村院長

 県立江刺病院(奥州市江刺)の川村秀司院長(60)=盛岡市出身=は、救急業務の推進に貢献した人に贈られる2021年度救急功労者の総務大臣表彰を受けた。今年度の受賞者は本県で1人。救急活動での連携強化や対応検証などを担う胆江地域メディカルコントロール協議会で長年尽力し、救急活動の環境改善に努めてきた成果が高く評価された。

 外科医の川村院長は1999年に同病院に赴任し、院長となって8年目。医師や消防など救急関係機関・団体でつくる同協議会には同病院代表として携わり、2015年4月に会長に就任した。

 同協議会では、老衰や末期がんといった人生の最終段階にある人が、心肺蘇生法などの処置を行わないことを事前に申告する「DNARプロトコール」を推進。県内2例目として、今年7月から運用を始めた。

 患者の希望通り心肺蘇生法などを行わないためには医師の指示書が必要となることから、患者本人と家族、医療側であらかじめ将来の医療方針と意思決定を推進する「アドバンス・ケア・プランニング(ACP、事前の医療・ケア計画立案)」の普及も併せて促進。DNARとの両輪で、地域での講演会などを通して浸透を図っている。

 川村院長は「地道に取り組んできたが、賞をもらうためにやってきたわけではない。DNARが進んできたのは、協力していただいた医師会や協議会の会員、市職員のおかげ」と感謝する。

 DNARやACPを進める背景には、医師や病床数の減少、高齢化が一層進展する見込みから、限られた医療資源の適正な活用を図りたい考えがある。川村院長は「高齢化がさらに進み、今後自宅でのみとりはさらに増加する。市民や医療現場への普及に努めていきたい」と語っている。

 表彰は「救急の日」(9月9日)を含む救急医療週間に合わせて実施されている。今年度は、医師や医療機関を対象とした総務大臣表彰が1団体12人、消防や行政などの救急関係機関職員を対象とした消防庁長官表彰に17人が選ばれた。新型コロナウイルスの影響で表彰式は中止され、賞状などは受賞者に発送された。

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