花巻

第二の人生ペダルこぐ 念願の自転車店開業 市職員退職し専門店で修業【花巻】

花巻市役所職員を退職し、サイクルショップを開店させた小原さん。石鳥谷図書館で小原さんに関する展示が開催されている
小原さん 銀輪へ思い熱く

 花巻市役所職員を退職し、スポーツ自転車専門店を開店させた人がいる。同市石鳥谷町八幡の小原仁さん(50)。長い人生を考える中で、自分の好きなことで地域の役に立ちたいと、第二の人生の仕事を始めた。「商売は難しいが、地元の愛好家に喜んでもらえるのがうれしい」と充実感をにじませる。

 2020年2月、同町八幡にオープンさせたのは「サイクルショップ オーバー」。一人で店を切り盛りしており、ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイク、関連商品をそろえる。用途に合わせた自転車を客に提供できるよう、接客では「どのようなものが欲しいかを聞き、お客さんが求めるものを大切にすること」を心掛け、手助けする。

 小原さんは同町出身。中学時代にスポーツタイプの自転車を買ってもらい、乗り物の魅力に目覚めた。高校時代はオートバイに夢中になり、1989年に同町役場に就職してからは、車やオートバイに乗るのを楽しんだ。

 健康のために30代半ばごろからマウンテンバイクでサイクリングを始めると、走る時の気持ちよさに触れるとともに「もっと速く走りたい」と感じロードバイクを購入。徐々にスポーツ自転車にのめり込み、北上市役所和賀庁舎に出向になった際には、石鳥谷から自転車で通勤するほど。サイクルイベントやヒルクライムレースなどにも出場するようになった。

 ただ一つ不便だったのは花巻にスポーツ自転車専門店がなかったため、修理やメンテナンスなどの際には盛岡まで足を運ばなければならなかったこと。「地元を便利にし、人の役に立ちたい」との思いが膨らみ、2018年に市職員を退職。盛岡市の自転車店で約2年修業した後、地元で念願の自分の店を持った。

 思い通りにやれる半面、「売った自転車に責任を持つ」ことを大切にしている。「自分と同じような愛好家に『近くにできて良かった』と言ってもらえると、やったかいがある」と語る。

 市役所を去り、仕事でもプライベートでも自転車漬けの日々だが「好きだから苦にならない」と、新たな人生を楽しんでいる。

人柄、丁寧な仕事ぶり紹介 石鳥谷図書館

 31日まで、小原さんの人生や仕事について紹介する展示が同町の石鳥谷図書館で行われている。担当した同館司書補助員、中村友美さん(35)は「小原さんの人柄やお店の良さ、丁寧な仕事ぶりを知ってもらえたら」と話す。開館時間は平日午前10時~午後5時、土日午前9時~午後6時。問い合わせは同館=0198(45)6882=へ。

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