一関・平泉

10年間ありがとう 「ジパング」がラストラン JR一ノ関、平泉駅記念セレモニー

月居駅長(右)の合図で一ノ関駅を出発するジパング

 9月末で定期運行を終えたジパングのラストラン「ありがとうジパング」は10日、JR東北線盛岡―一ノ関間を往復して行われた。一ノ関駅や平泉駅では記念セレモニーが行われ、10年間にわたり観光振興などの一翼を担った列車へ関係者や沿線住民が感謝の気持ちを示した。

 ジパングは、大型観光PR企画いわてデスティネーションキャンペーン(2012年4~6月)に合わせて運行を開始。4両編成の外観は墨、ねずみ、金の3色を基調とした重厚感ときらびやかさを併せ持つデザインで、車内は映像と光で「平泉の文化遺産」を演出する仕組みや、車窓からの眺望を満喫できるシートレイアウトを施していた。

 ラストランは定員140人に対し上り約500人、下り約600人が応募する人気で、一ノ関駅では午前11時10分の到着を時の太鼓顕彰会による勇壮な太鼓演奏をはじめ、駅員が用意した横断幕や手旗を持った鉄道ファンらが出迎えた。

 駅構内では掛け紙やラベルにジパングをあしらった駅弁、ビールなどが販売され人気を博す中、ラストランに乗車するため盛岡市から家族4人で訪れた川村瑠成さん(13)は「ジパングはザ・国鉄という車両が魅力だった。もう見られなくなると思うと寂しい」と熱心にカメラに収めていた。

 午後0時24分に月居康男駅長の合図で同駅を出発。同顕彰会による太鼓の音が響き渡る中、ホームを埋めた大勢の人がラストランを見送った。月居駅長は「ジパングをご利用いただいたお客さまに感謝するとともに、今後も新商品を用意していきたい」と語った。

 平泉駅でのセレモニーには町や平泉観光協会、地元住民ら約50人が参加。ジパングの上り到着に合わせ、平安貴族姿の住民らがホームで「ありがとう ジパング号」と書かれた横断幕を掲げたほか、平泉、長島両小学校の児童が作った横断幕が並べられた。

 青木幸保町長が久保公人JR盛岡支社長に花束を贈り、10年間の運行に感謝した。平泉のマスコットキャラクター「きよひらくん」も加わり、ジパングを見送った。

 町関係者は「観光客だけでなく、鉄道ファンも多く来てくれたことに感謝したい」と話していた。

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