北上・西和賀

賢治世界 表現多彩に 子供と曽祖母出演も 民俗村【北上】

曽祖母の後藤キツヨさん(左から2人目)へ感謝の気持ちを込め、一緒に「雨ニモマケズ」を朗読するひ孫ら

 「民俗村で賢治さんの作品を読もう」(実行委主催)は10日、北上市立花のみちのく民俗村で開かれた。8組がステージで朗読やフラダンス、琴演奏などを通じて宮沢賢治の作品を表現。来場者と共に賢治の世界に浸った。

 賢治の強さや優しさ、精神に触れる機会をつくろうと実行委が初めて企画。60人余りが来場した。

 初めに、アンサンブルことね(北上市)の関係者がフルートと琴、声楽で「星めぐりの歌」「ポラーノ広場」などを披露。出演者が「やまなし」「セロ弾きのゴーシュ」「永訣(えいけつ)の朝」などを読み上げ、レイナニマキフラスタジオ(同市)のメンバーが「星めぐりの歌」などを優雅なフラダンスで表現した。

 ひっこさんファミリー(同市)は佐藤蒼馬君(江釣子小学校1年)、平野七海さん(黒沢尻西小学校1年)が在園時、いつも帰りのバスの迎えに来てくれた曽祖母の後藤キツヨさん(90)への感謝の気持ちを込め「雨にも負けず、風にも負けず迎えに来てくれてありがとう」と感謝状を贈呈。後藤さんとひ孫4人らが「雨ニモマケズ」を高らかに朗読した。佐藤君、平野さんは「ずっと迎えに来てくれてうれしかった。うまく読めたし、ありがとうと伝えられた」と笑顔で語った。

 同じく「雨ニモマケズ」を読んだ同市の清水上裕さん(69)は「いつの時代どんな状況でも強く優しく生き、行き詰まっても元気を出そうと教えてくれる」と賢治に思いをはせた。

 斎藤彰吾実行委員長(89)は、展勝地が開園した1921(大正10)年に花巻農学校(現花巻農高)に赴任した賢治が教員時代にしたためた「展勝地」を読み上げた。「(展勝地エリアの)陣ケ丘に生徒を連れてきた時の作品と思われる」と解説。展勝地一帯で、日本の原風景を思わせるみちのく民俗村での開催に「時代を超え、こうした場での集いは素晴らしい。みんなとてもいい発表で、賢治も喜んでいるのでは」と目を細めていた。

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