北上・西和賀

国見山廃寺 調査成果紹介 模型やジオラマ並ぶ 市博物館特別展【北上】

国見山廃寺に関し、これまでの研究成果を紹介している北上市立博物館特別展
▲五重塔の約50分の1の復元模型。実際の高さは26・5メートルほどと考えられる

 世界遺産平泉の仏教文化の先駆けとなったともいわれ、平安時代中ごろに栄えた山岳寺院「国見山廃寺」に関する研究成果を紹介する特別展が、北上市立花の市立博物館(杉本良館長)で開かれている。26日まで。

 国見山廃寺は、同市稲瀬町の国見山(244メートル)の南麓に位置し、平安時代中期には礎石建物による多数の堂塔が尾根上に立ち並び、北東北最大の寺院だったとされる。

 現存する建物は残っていないが、1963年の第1次発掘調査以来、礎石や瓦など多数の堂塔跡が発見され注目を集めた。調査により本堂や阿弥陀堂、多宝塔、経蔵など数々の堂塔があったと推定された。

 このため県建築士会北上支部が中心となって、古代寺院建築史の第一人者である濵島正士さん(国立歴史民俗博物館名誉教授)の指導の下、礎石などの遺物から建物の復元図作成が試みられた。特に多重塔に関しては、塔の中心柱となる心礎があることから三重塔か五重塔が考えられたが、人里を見渡す位置に建てられていることなどから五重塔であったと想定された。

 これまで3回の公開フォーラムを開いて調査成果の発表が行われ、多くの市民らが関心を寄せていた。

 「国見山廃寺における建築・瓦」と題した同展では、国見山廃寺周辺のジオラマや瓦、復元図をもとにした五重塔の模型などの展示を通して、これまでの調査成果をまとめて紹介している。さらに、「社寺工舎」(遠野市)の宮大工・菊池寛明さんが、6回の修正を加えて今年5月に完成した塔の設計図も公開されており、展示物を通して国見山廃寺の全体像を詳しくイメージできるようになっている。

 同館で先月7日に関連事業として開催された「鼎談!国見山廃寺の塔を語る3人の熱き漢(おとこ)」と題した講演会では、復元図作成に関わってきた濵島さん、菊池さん、県建築士会北上支部の加藤康久さんが、それぞれの立場で国見山廃寺にあった堂塔建築について持論を展開。五重塔再建について加藤さんは「地盤調査、市民の声、資金などいろいろな問題はあるが、この夢を実現するための熱意あるリーダーの出現が求められる」と、100年後の展勝地へ希望を語った。

 開館時間は午前9時~午後5時(最終入館4時30分)。期間中の13、20日は休館。観覧料(個人)は一般500円、高校生240円、小中学生170円。

 問い合わせは同館=0197(64)1756=へ。

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