北上・西和賀

食から見る鬼の姿 鬼の館企画展 錦絵や像など展示【北上】

口にする物や背景から鬼の原像を探る「鬼と食べ物展」

 北上市和賀町の市立鬼の館は企画展「鬼と食べ物展」を開催している。酒呑童子がうたげに興じる錦絵や同町岩崎地区に伝わる役行者(えんのぎょうじゃ)と鬼の像、大船渡市猪川町の長谷寺に受け継がれる寺宝「鬼の牙」など約20点を公開し、食べた物や背景から鬼の実像に迫っている。2022年2月13日まで。

 鬼は人間を食べる恐ろしいイメージがあるが、史料をひもとくと餅を食べたり酒を飲んだりしていることが分かる。月岡芳年(1839~92年)の錦絵「和漢百物語」は、都から人々をさらって食べていたという酒呑童子が人間に化けてうたげを楽しむ様子を描いており、皿には獣の肉のようなものが載っている。

 役行者の像や掛け軸は、修験道の開祖とされる役行者が、人の子をさらって食べていた前鬼と後鬼をこらしめて付き従えたという伝説に基づく史料。長谷寺観音堂を再興した際、観音堂の地下から掘り出されたとされる「鬼の牙」(1本約1センチ×6センチ)は全部で33本あり、蝦夷の赤頭のものと伝えられる。

 このほか、ナマハゲに餅やお膳を振る舞っていた記録やナマハゲ面(古型)、中国から伝承された魔よけの鬼神「鍾馗(しょうき)」の押し絵のひな人形なども展示した。

 一方で、鬼は豆や匂いの強い食べ物が苦手とされ、イワシの頭とヒイラギの葉を玄関に飾ったり、ショウブとヨモギを屋根に差したりする風習も紹介。同市立花地区でもかつて、鬼の姿をしたわら人形を家の出入り口に飾り、ニンニクをつるした疫病よけの年中行事「コト八日」が行われていたことも取り上げている。

 相原彩子主任学芸員は「鬼は多様性にあふれており、食べ物についても、人以外も食べていたのではないかと思って調べてみた。食べている物から、また違った鬼の性格が見えてくることもあったので、皆さんにも知ってもらいたい」と見どころを語る。

 1月4日まで休館。開館時間は午前9時から午後5時(入館4時30分)まで。

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