一関・平泉

老舗食堂惜しまれ閉店 多くの支え感謝 宮下「あっついや」店主・小野寺さん【一関】

多くの常連客らに惜しまれつつ閉店した一関市宮下町の大衆食堂「あっついや」店主の小野寺さん(中央)

 創業から約100年の歴史がある一関市宮下町の大衆食堂「あっついや」が30日、多くの常連客らに惜しまれつつ閉店した。後継者がおらず、自身の高齢を理由に閉店を決断した店主の小野寺一枝さん(79)は「3代にわたり長い間支えていただき、いろいろとお世話になった」と話している。

 昭和の初めごろ、一枝さんの祖父長平さんが市街地でゆであずきを売り歩いた屋台商売が店の前身。「あっつい、あっつい、ゆであずき」とリヤカーに屋根を付けた屋台を引いて歩き、常連客から「あっついや」と呼ばれるようになった。

 ゆであずき売りは冬だけの商売だったため、年中売れるものを模索し、昭和10年近くからおでん、団子、あん餅売りを始めた。戦争で一時中断したものの、一枝さんの父正三さんが戦地から戻ってからは、手打ちそばや団子を提供した。

 現在地に店を構えたのは昭和25、26年ごろで、運送業のトラックドライバーが訪れるようになり、定食や丼物をメニューに追加。地域だけでなく、一時は全国からの客でにぎわいを見せた。メニューの中でカツ丼は特に人気があり、地域のスポーツ大会前などは「勝つ」の願掛けで注文が多く、子供から大人まで多くの人に親しまれたという。

 数年前に夫安永さんが亡くなってから1人で切り盛りしてきたが、2022年2月に営業許可証の更新を控え、1人で調理、接客するのが難しくなってきたことや、後継者がいないことを考えて年内での閉店を決めた。

 子供の時から店を知る地元の60代女性は「いなりそばのいなりが三角ではなく、千切りでいっぱい載っていておいしかった。高校受験の時にはカツ丼を食べたりしてお世話になった。なくなってしまうのは本当に寂しい」と惜しんだ。

 小野寺さんは「アルバイトを入れたりしてやっていたが、体が付いていかなくなった。閉店は断腸の思いで残念。今までありがとうございました」と感謝の思いを強くしている。

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