分娩施設ゼロに 3月末で受け入れ停止 奥州の開業医 胆江地方
胆江地方で唯一分娩(ぶんべん)を受け入れてきた奥州市の開業医が3月末でお産の扱いを取り止めることを決め、分娩可能な施設が実質ゼロとなる見通しとなった。地元の妊産婦は隣接市など2次医療圏外での出産が唯一の選択肢となる状況が近づき、市医師会や市は支援策の追加や拡充を検討している。
お産の受け入れを停止するのは、同市水沢太日通りの平間産婦人科。スタッフの不足や医師の家庭の事情により継続が困難になったとし、現在受け入れている妊婦で4月以降に出産を控えている人には別の医療機関を紹介済みという。妊婦健診などその他の診療は継続する。
全国的な医師不足などを背景に、同地方(同市、金ケ崎町)でも分娩を受け入れる施設は年々減少。長年、内外から状況の悪化を指摘する声があった。2007年度に県立胆沢病院の産婦人科が受け入れを休止。民間でも対応可能施設の減少が続き、21年度に平間産婦人科のみとなった。
住民をはじめとして周産期医療を取り巻く状況について改善の要望は根強いが、医師の確保が困難で好転の見通しは立っていない。市医師会は対応策を検討しているといい、市も妊婦へのタクシー代金助成の拡充や新規の支援策などを練っている。