極寒に増す甘み、風味 寒ざらしそば作業進む 西和賀町
厳冬期を迎え、西和賀町の西和賀産業公社では、冷たい水に浸したソバの実を寒風にさらし、豊かな味わいを引き出す「寒ざらしそば」の作業が進んでいる。
寒ざらしは、極寒の気候風土を生かした手法で、秋に収穫した町内産の新そばを冷水に約1週間漬けた後、さらに寒風に1週間さらして乾燥させる。江戸時代には玄そばを種子として保存するために行われていたとされるが、冷水に漬けることであくや雑味が抜け、寒風により甘みや風味が増すとして同公社が毎年手掛けている。
仕込みは同町上野々の製造工場で行われており、今季は5日にスタートした。穏やかな天候に恵まれた「大寒」の20日は、午前中から従業員2人が作業。2度ほどの冷水に浸したソバの実の袋を引き揚げてケースに均等に広げ、外に置かれた棚に並べた。作業は今月いっぱい続く見込みで、約1トンを仕込む計画だ。
寒ざらしそばは3月上旬から町内の飲食店で提供されるほか、同公社が運営する湯夢プラザなどで半生麺として販売される予定。同公社によると、2021年度の西和賀そばの栽培状況(同公社扱い分)は作付け面積が約133ヘクタール、収穫量は前年より33・5トン多い約85トンとなっている。
同公社の廣瀬稔生産加工課長は「今年度のソバは収量が多くて品質も良好。冷え込みも良い状況なので、おいしい寒ざらしそばができると思う。寒さの厳しい地域でしか味わえない風味を、西和賀に足を運んで楽しんでいただきたい」とPRしている。