増設工事本格着手 北上工業団地終末処理場 企業の需要に対応
北上市は、半導体大手・キオクシア岩手などの立地に対応するため、北上工業団地の終末処理場増設工事に本格着手する。既存施設の隣接地に建設し、2024年9月の利用開始を予定。2棟目着工が見込まれるキオクシア岩手と関連企業の需要に最大限応えていく。
同市二子町坊舘地内の既存の終末処理場(1・29ヘクタール)の処理能力は1日最大2万7000立方メートル。キオクシアからは現在の処理能力を超える排水の申し出があり、市は18年度に終末処理場増設事業に着手。日本下水道事業団と協定を締結し測量や地質、環境影響、埋蔵文化財などの調査や設計、用地取得を進めてきた。
21年4月に始まった造成工事は22年1月で完了し、今月から本格的な建設工事に入る。用地取得などを合わせた増設関連の総事業費は約95億円で、うち国庫補助は3分の1。今回の建設工事費は約31億円。
増設する終末処理場は同市二子町渋谷地内を中心に建設。面積は5・01ヘクタールで、1日の最大処理能力は9500立方メートル。既存処理場と合わせた1日の最大処理能力は3万6500立方メートルとなり、キオクシア2棟目や関連企業の進出にも対応できる規模になりそうだ。
同事業団が工事を発注、監督し、施工業者が汚泥処理棟や最終沈殿池、塩素混和池などを建設。工業団地内からの工業排水をろ化し、北上川に安全に放流する環境を整える。23年8月の完成を予定する。
22年度にも電気機械設備などの工事に着手。場内の整備工事も含めた全体事業は24年9月の完成、利用開始を見込んでいる。
同市村崎野の伊勢神社で行われた安全祈願祭には市、同事業団、施工業者の鴻池組・冨士工特定共同企業体の関係者ら20人ほどが出席。髙橋敏彦市長らが玉串をささげ、工事の無事を祈った。
髙橋市長は「北上工業団地は市内10カ所の工業団地、産業業務団地の中で心臓部に当たる。キオクシアの進出を機に今後も多くの企業が進出、増設の予定で、北上市のさらなる発展の大きなエンジンになる。ぜひ安全に工事を進め、予定通り24年に稼働できるようお願いする」と述べた。