北上・西和賀

橋梁3カ所、早期補修を 点検結果報告 黒沢尻工高生 県と協働【北上】

及川所長(右)らに橋梁の点検結果を報告する黒沢尻工高の生徒

 県立黒沢尻工業高校の土木科3年生5人は8日、県と協働で実施した橋梁(きょうりょう)点検の結果を報告した。点検した4カ所のうち北上市和賀町内の国道107号菱内橋など3カ所は、構造物の機能に支障が生じる可能性があり早期に補修する必要があるとし、4区分で示され、数字が大きいほど早期の修繕が望ましいとされる橋の健全性診断で「3」の早期措置段階と判定したことを伝えた。県では点検結果を踏まえ2022年度以降に補修設計に着手する考えだ。

 同市芳町の北上地区合同庁舎で開かれた報告会には、黒沢尻工高から橋梁点検班の5人と担当教諭らが出席した。生徒代表が県南広域振興局土木部北上土木センターの及川郷一所長に点検調書を手渡した後、生徒一人ひとりが点検結果や健全性診断について報告した。

 生徒は21年9月に、同市和賀町内にある菱内橋、主要地方道花巻平泉線の瀬畑大橋、同市川岸の国道107号古城場2号橋、奥州市江刺の国道456号中島橋の4橋で点検業者と共に現地を点検。12月には現地点検を踏まえて健全性診断を実施した。

 現地点検では、橋梁点検車に乗って構造や外観などを確認したほか、コンクリート構造物の欠陥を高精度に検知する打音検査器「ブルードクター」やドローン(小型無人飛行機)などを使用し、主桁、床版、下部構造など部材単位ごとに詳しく点検した。

 生徒による報告会では金澤我羽さんが点検概要を説明。古城場2号橋について高橋明大さんは「ひび割れ幅が拡大している。つららの発生も確認され、小学生の通学路として利用されており早期の補修が必要」と語った。

 中島橋に関して佐藤彪雅さんは「遊離石灰が認められた。さび汁も確認され鉄筋が腐食している恐れがある」と、健全性3と判定したことを説明。菱内橋については三河魁吏さんが報告したほか菊地瑞希さんは、瀬畑大橋は健全性2の予防保全段階と判定したことを示した。

 及川所長は「丁寧で細かな報告で素晴らしいものだった。調書は皆さんの名前が残り、県が行うメンテナンスの基礎になる。知識と経験を今後に生かし、岩手の将来を担う土木技術者として成長してほしい」と生徒をねぎらい、今後の活躍に期待した。

 県は19年度から土木技術者の担い手確保などを推進するため、県内工業高校との協働による橋梁点検を行っており、今年度は初参加の黒沢尻工のほか、盛岡工、一関工、久慈工の4校が取り組んでいる。

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