鬼描かれた半紙 自宅に 疫病祭り コロナ終息願い込め 東和・浮田【花巻】
新型コロナウイルスの「オミクロン株」が県内でも猛威を振るう中、花巻市東和町の浮田地区では8日、疫病祭りが行われた。地域住民が、「人形」と呼ばれる鬼が描かれた半紙を自宅に祭り、新型コロナの終息と今年一年の無病息災を願った。
疫病祭りは人形に描かれた鬼に厄や疫病を背負わせ、一年の健康を願う伝統行事。毎年2月8日に各家庭で行われていたが近年は下火になっていたといい、新型コロナ感染拡大を受けて2021年から浮田地区コミュニティ会議が復活させた。
人形には同会議の事務局員が描いた鬼の絵と「一、当春疫病祭之事(ひとつ、とうはるやくびょうまつりのこと)」の文字が書かれており、同会議が1日から地区内の166世帯に人形を配布した。
8日早朝に地区住民は、自宅の門口に人形を挟んだ竹を立て、竹の先には家族人数分の団子をひもで結び付けた。中には鬼の面を一緒に飾り付けたり、「コロナ退散」の文字を加えたりする家庭も見られた。
人形は1年間祭られる。同会議の藤井輝雄事務局主幹は「竹に団子や人形がなくなったら、鬼がその家の厄を持って行ってくれたということ」と語る。
同町毒沢の丑島千恵子さん(68)は自分で描いた鬼の絵も竹に挟んだと言い、「子供の頃、2月8日に祖父が鬼の絵を描いていたのを覚えているが、こういう行事だったとは知らなかった。御利益があるよう、怖い顔の鬼を描いた。早くコロナが終息してほしい」と人形を見詰めていた。