奥州・金ケ崎

時代に合わせて変化を 郷土料理継承活動20周年 かみしも結いの会【金ケ崎】

かみしも結いの会が運営しているお休み処かみしも。活動は20周年を迎えた

 金ケ崎町西根本町の「お休み処かみしも」を拠点に活動している「かみしも結いの会」(菊地芳子会長)は、活動20周年を迎えた。昔ながらの商店街に密着し、郷土料理「ずるびき」の継承や産直、イベントなどを展開。節目の2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で思うような取り組みができず、会員減少も踏まえ時代に合わせた変更を視野に入れて活動を続けている。

 同会は01年11月、商店街を維持・活性化しようと女性たちが集まって結成。地元の町上、町下が手を取り合おうと団体名に「かみしも」と付けた。03年にはJA岩手ふるさとの施設を賃貸し、「お休み処」を開設。事業や家賃などに公的を含む支援を受けた時期もあったが、15年度からは自力運営を続けている。

 活動の中でもずるびき関連事業は、地区外からも注目を集めた。ずるびきは、不祝儀などの膳料理で余った食材を活用した精進料理風のあんかけ汁。かつては葬儀を手伝いに集まった近所の人に振る舞われ、町内では本町一帯に特有という。販売商品化など定着しなかった取り組みもあるが、ランチでの提供は現在も続き、食を通じて地域の結いの精神を発信している。

 地域に密着した活動は根付いた。産直施設として、町内を中心とする生産者が農産・加工品を出品。遠方に出歩きにくい近隣の高齢者を中心に重宝されている。イベントは原則月1回の開催で、季節に合わせた商品の展開や展示、講座などを実施。近年は町社会福祉協議会事業の認知症予防サロン・オレンジカフェを開設している。

 一方、高齢化による会員の減少が悩みだ。一時は40人ほどだったが、現在は本町の女性を中心に生産者も含めて60~80代の30人が所属。ほぼ無報酬で何とか活動を維持している。ここ2年はコロナ禍にも泣かされ、「ずるびき」ランチの予約が入らない状態が続いている。

 20周年に当たり会員からアンケートを取ったところ、回答した27人のうち78%が会の存続、67%がお休み処の継続を希望した。営業継続の方策については、組織や業務の変更など複数の意見があった。

 結成当初から活動している菊地会長(77)=同町西根本町=は「毎月イベントを一生懸命こなすだけで20年経った。楽しみながら活動したのも継続の一因か」と振り返る。「後継者問題が一番の悩み。せっかくともした明かりは消したくないが、なかなか答えはない。若い人ならではのやり方もあるだろうし、できる範囲内でもよい。体(現状)に合った行事やイベントの実施を呼び掛けている」と変化を見据える。

 同会は1月に町内で20周年記念式典を開催。生産者、協力者5人に感謝状を贈った。次の通り。(敬称略)

 高杉郁也、鈴木恵美子、千葉良子、千葉光子、内沢ヤス

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