一関・平泉

棚田遺産に市内2地区 金山(舞川)は初の選定 農水省【一関】

オーナーとなった県内外の家族らが参加し田植えが行われた金山棚田=2021年5月29日

 農林水産省は15日、良好な景観形成や自然環境保全などへ積極的に取り組む棚田として、一関市の山吹棚田と金山棚田を含む全国271地区を「つなぐ棚田遺産」に選んだと発表した。担い手の高齢化などで管理が困難となる中、地域住民ら多様な人たちが管理、保存に協力することなどを要件としており、同市の棚田を管理する関係者からも喜びの声が上がっている。

 山吹棚田は同市大東町大原字山吹地内にあり面積約3ヘクタール。同省が1999年選定した「日本の棚田百選」の中では最北で、有機堆肥などを使い自然乾燥させたオリジナルブランド米の生産などが行われている。

 金山棚田は同市舞川字唐ノ子地内で約150年前の江戸時代後期に開墾。「百選」には選定されていなかったものの、山合いの斜面約70アールに沿って100枚近くの小さな水田が複雑に連なる姿を残している。

 同棚田では所有者が高齢に伴い作付けが難しくなったため、2020年に市内の若者有志で組織するいちのせきシェア農園(櫻井陽代表)が継承。2年目の昨シーズンは一部を一般に貸し出すオーナー制度を導入し、県内外のオーナーが田植えや稲刈り体験を通して収穫の喜びを味わった。

 選定の知らせに櫻井代表(29)は「驚きとうれしさを感じている。自分たちだけで続けられるものではなく、地元舞川地区やオーナーの方々の協力があったからこそ」と喜びを語る。

 同省では「日本の棚田百選」に134地区を選定していたが、20年以上が経過し一部では農家や所有者の高齢化などで荒廃する危機に直面していたため、改めて優良な棚田が選ばれた。

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