花巻

ひな祭り文化 風情豊か 賢治が見た人形も 大迫・早池峰展示館【花巻】

「早池峰と賢治」の展示館が保管する貴重な花巻人形とひな人形

 花巻市大迫町の「早池峰と賢治」の展示館(浅沼利一郎館長)は、同館で保管する地域住民らから寄贈を受けた花巻人形やひな人形を展示している。江戸時代に作られた花巻人形や宮沢賢治の常宿だった石川旅館のひな人形など貴重な作品が並び、訪れた人たちに当時の風情を伝えている。

▲日清戦争時代に作られた花巻人形や石川旅館で使われていた家具も紹介している

 石川旅館は製糸工場やたばこ産業、九の市日などでにぎわっていた大迫町で高級旅館として繁盛したとされ、1918(大正7)年には土性調査を依頼された賢治が投宿していたという。賢治はその後も大迫を訪れるたびに同旅館に宿泊して父・政次郎や友人に多くのはがきや手紙を出しており、「土性調査慰労宴」「雪の宿」など旅館での宴席が題材の詩も書いている。同館は廃業した石川旅館から屏風(びょうぶ)、鏡台などの貴重な備品や芸術品を引き取った。

 展示では同旅館に飾られていたひな人形や、町内の寺院から寄贈された1815(文化12)年に作られた花巻人形などを並べている。中には、日清戦争時代に作られた花巻人形など希少な作品もある。

 ひなまんじゅうやきりせんしょのほか、胃腸薬としても用いられたヤマイモ科の多年草「野老(ところ)」なども展示。「野老」はひな人形を飾っている家に招かれた子供たちが菓子を食べ過ぎたときのために用意されていたといい、地域のひな祭り文化も併せて紹介している。

 浅沼館長は「石川旅館のひな人形は、宮沢賢治が宿泊した時から飾られているので、生前に賢治も見ている人形。展示を見て、大迫町のひな祭り文化や花巻人形の歴史を感じてほしい」と来場を呼び掛けている。

 展示は3月10日ごろまでの予定。開館時間は午前9時から午後4時30分まで。問い合わせは同館=0198(48)2070=へ。

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