花巻

信仰貫く生き方熱演 市民劇場「斎藤宗次郎物語」 コロナ禍 朗読で表現【花巻】

第46回花巻市民劇場公演「そして汽車は南へ走る~斎藤宗次郎物語」の一場面

 第46回花巻市民劇場公演「そして汽車は南へ走る~斎藤宗次郎物語~」(市主催、市民劇場実行委員会制作)は19、20日の両日、同市若葉町の市文化会館で行われた。明治、大正時代の花巻でキリスト教徒の生き方を貫いた先人の物語を朗読で感情豊かに表現し、観衆を舞台へ引き込んだ。

 東和賀郡笹間村(現花巻市北笹間)の寺に生まれた斎藤宗次郎(1877~1968年)は、無教会主義キリスト教徒である内村鑑三の弟子の一人。一説では宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のモデルともいわれている。

 物語は、非戦論を唱え当局からにらまれて教職を失った宗次郎が、新聞取次店「求康堂」を営みながら生計を立て、仕事の合間には駅や学校の花壇づくりに精を出し、農学校の教員で詩人だった宮沢賢治との交流などのエピソードを交えて、迫害を受けながらも真面目に働く姿から徐々に人々に受け入れられていく様子を描いた。

 脚本は講談師の地伏亭金目(本名・松田真学)さん、演出は同実行委の高橋信也会長が担当。コロナ禍で急きょ朗読劇として上演され、郷土の先人の物語を感情豊かに語り、観衆を舞台に引き込んだ。

 初めて市民劇場に参加した花巻東高校3年の後藤希望さん(18)は、宮沢賢治の妹・トシ役で出演。「りんとした女性というトシのイメージに近づけるよう頑張った」と語り、コロナ禍で無事に上演できたことを喜びほっとした表情を見せた。

 宗次郎のことを知りたいと来場した同市南笹間の平藤まり子さん(71)は「地元の先人で名前は知っているが、どんなことをした人なのか興味があった。すごく分かりやすく、同じ時代に賢治が生きていたことも知った。朗読に思わず引き込まれてしまった」と感激した様子で話していた。

 花巻市民劇場は地元ゆかりの人物や物語を取り上げ、1977年から公演が行われている。昨年は、新型コロナの影響で中止した。

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