トンネル整備で復旧 国交省が事業採択 総額130億円 全面通行止め・国道107号大石地区【西和賀】
のり面崩落、地滑りの影響で2021年5月から全面通行止めが続いている西和賀町大石地区の国道107号について県は24日、国土交通省からトンネルによる本復旧とする内容で、災害復旧事業として採択されたことを明らかにした。災害復旧事業は26年度までの予定で、地滑り箇所を回避しトンネルによる抜本的な復旧が図られる。
県砂防災害課によると、原状復旧とトンネル化を含めた別線復旧の2案を検討。今月1、2日に災害査定が行われ、国で審査した。
その結果、地滑りが大規模で、安全な通行確保と復旧には相当の費用と長期化が予想され、費用面や期間などを総合的に判断してトンネル化を選択したという。
トンネルは現道北側に整備。道の駅錦秋湖の西側で、復旧距離は延長2447メートル。うちトンネルは延長1470メートル、橋梁(きょうりょう)70メートルとなる。残り約900メートルは現道を活用する。道路幅員は7・5~12・5メートル。
トンネル工と橋梁工、応急仮工事一式(仮橋工、盛土工など)を合わせた事業決定額は総額約130億円。国が3分の2、県が3分の1を負担する。具体的なトンネルの完成時期などは未定だが、災害復旧事業期間の26年度が一つの目安となりそうだ。
県は当面の暫定措置として、湯田ダム湖内に仮橋を設置し総距離1・5キロの迂回(うかい)路を設ける方針で、今冬の積雪期前の供用を目指している。
秋田道北上西インターチェンジ(IC)―湯田IC間で無料措置が取られているが、北上市と西和賀町をつなぐ107号の寸断は住民生活や経済活動に大きな影響を及ぼしているだけに、県は「岩手、秋田を結ぶ重要路線であり、一日も早い復旧を目指していく」としている。
町と北上市、秋田県横手市の沿線3市町と関係団体は昨年、国道107号改良整備促進期成同盟会を設立。トンネル化を含めた抜本的、恒久的な改良整備を訴えてきた。
内記和彦町長は「以前にも(今回の崩落箇所の)近くで崩落し復旧した経緯もあり、抜本的な改良整備として判断してもらいありがたい。時間はかかるかもしれないが、将来に向けしっかり復旧のめどをつけていただければ、それに向け取り組みを加速化できる」と歓迎した。