県内外

教訓伝承悲しみ二度と 大槌 合同追悼式で誓い新た 東日本大震災11年

県・大槌町合同追悼式で黙祷する参列者

 本県など東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災発生から11年となった11日、県内各地で追悼行事が催された。県と大槌町による合同追悼式は、町役場多目的会議室で行われ、来賓や遺族ら約150人が参列。震災で犠牲になった人々に鎮魂の祈りをささげ、教訓の伝承と岩手の発展へ決意を新たにした。【2、3、9、社会面に関連】

 新型コロナウイルス感染対策のため、来賓を除く一般参列者は同町の遺族に限定するなど規模を縮小。町虎舞協議会の鎮魂の舞、震災直後から被災地にピアノを届ける活動を続ける作曲家でピアニストの西村由紀江さんによる国歌演奏に続き、午後2時46分から1分間、防災行政無線放送のサイレンに合わせ、参列者全員で黙祷(もくとう)をささげた。

 達増拓也知事は式辞で犠牲者への哀悼の意を表すとともに、震災の事実と教訓、復興の姿を次世代に継承することを誓い、「海岸保全施設の整備や災害公営住宅の完成、三陸沿岸道路の全線開通で復興の目指す姿を実感できるようになってきたが、復興はまだ終わっていない。残された一部の社会資本を早期に整備し、被災者の心のケア、新たなコミュニティの形成など一人ひとりに寄り添った支援を続ける」と述べた。

 平野公三町長は「震災で失ったものはあまりに大きく、心も体も極限状態の中でも復旧・復興に向け歩み続けた11年間だった。今を迎えることができたのは歩み続けた町民と全国、全世界からの支援のおかげ。次の世代が同じ悲しみを背負わないよう震災伝承に息長く取り組む」と述べた。

 来賓としてラーム・エマニュエル駐日米国大使も参列。新妻秀規復興副大臣、五日市王県議会議長らが追悼の言葉を述べた。

 遺族を代表し、震災津波で妻と母を亡くした同町の県臨時職員芳賀俊明さん(69)が追悼の言葉を述べ、「11年がたった今でも後悔と寂しさが込み上げてくる。それはこれからも続くだろうが、強い気持ちを持って二人の分まで生きていく。震災を風化させず、次の世代へ伝えていくことが、私と同じ思いをする人を一人でも減らし、次の世代の未来を守ることにつながる」と語った。

 県によると、震災による県内死者は2月末現在、5145人、行方不明者1110人、負傷者213人、倒壊家屋2万6079棟を数える。

地域の記事をもっと読む

県内外
2024年4月29日付
県内外
2024年4月29日付
県内外
2024年4月29日付
県内外
2024年4月29日付