集中学習で難関突破 甲種危険物取扱者試験 倉内さん(専北高3年)合格【北上】
専大北上高校(阿部伸校長、生徒721人)自動車科3年の倉内奏太さん(18)は、難関とされる国家資格の甲種危険物取扱者試験に合格した。消防試験研究センター県支部が実施する同試験で2021年度に合格した県内高校生は倉内さんを含めわずか2人で、同校生徒では初の快挙。4月から新社会人としてスタートを切る倉内さんは「うれしい気持ちでいっぱい。仕事に生かすことができれば」と喜びをかみしめている。
危険物取扱者免状は、取り扱える危険物の種類によって、甲・乙・丙の3種がある。甲種はあらゆる種類の危険物を取り扱うことができるが、一定の受験資格がある上、試験の難易度も高く、合格率は全国で30~40%の狭き門だ。法改正で高校生も受験可能となった08度以降、宮城、青森両県で受験した生徒を含め、県内高校生の合格者は23人となっている。
14日に北上市新穀町の同校を訪れ、倉内さんに表彰状を手渡した同支部の高橋徹支部長は「危険物を取り扱う事業所は県内にも数多くあり、危険物取扱者の資格は需要が高い。高校在学中に難関を突破した熱意と努力が素晴らしい」と称賛した。
倉内さんは1年次に丙種を、2年次に乙種の全6類を取得。「ここまできたら最後までやってみよう」と甲種試験への挑戦を決意した。ただ、物理や化学、関係法令などほとんど習っていないことや知らないことばかりで「理解するのが大変で、最初は全く頭に入ってこなかった」と悪戦苦闘したが、動画投稿サイトやインターネットを活用しながら勉強を続けた。
休日は7~8時間集中して取り組み、所属していた軟式野球部の練習の合間にもテキストを開くなど、寸暇を惜しんで勉強した。倉内さんは「自分は集中力が続かない方なので、オンとオフをはっきりさせるよう生活や勉強の仕方を工夫した。だんだん興味が湧いてきて、『楽しいな』という感覚が生まれてきた」と振り返る。
同科の佐藤和人教諭は「自分をひけらかすことなく、何事もこつこつ取り組むタイプの生徒。やれば何でもできることが分かったことは財産になったはず。突破口となってくれたので後輩も続いてくれると思う」と、同校初の快挙を喜んだ。倉内さんは「まだ取得したい資格があるので社会人になってからも頑張りたい。とにかく小さな積み重ねが大事だということを伝えたい」と新たな目標を見据えつつ、後輩にも熱いエールを送る。