花巻

花巻衛星打ち上げ 宇宙プロジェクト始動 地域産業活性化へ

花巻スペースプロジェクト「UP花巻」の始動を発表する参加代表者。左から川村校長、安藤代表、永崎社長、佐々木さん

 宇宙をテーマに花巻を盛り上げるために誕生した合同会社SPACE VALUE(本社花巻市下似内、安藤修一代表)と、宇宙産業の総合的なサービスを展開するSpace BD(本社東京都中央区、永崎将利代表取締役社長)は、2024年の衛星打ち上げと宇宙を起爆剤に地域産業の活性化を目指す、花巻スペースプロジェクト「UP(アップ)花巻」を立ち上げた。「宇宙」をテーマに花巻全体を盛り上げるとともに、次代の花巻を担う人材育成につなげる。

 花巻オリジナルのミッションを携えた人工衛星を開発・運用する「衛星開発プログラム」と、宇宙を題材に花巻を支える地場産業の新たな価値創出を目的とした「地場産業プログラム」の2本柱。

 プロジェクトの象徴となる衛星開発プログラムでは、衛星開発事業を手掛けるアークエッジ・スペース(本社東京都)の協力を得て花巻独自のミッションを担った衛星を開発。衛星は10センチ角の1Uサイズを六つ組み合わせたワイド6U規格の超小型人工衛星で、カメラなどを搭載し撮影機能を持つ予定。

 衛星が担う宇宙空間でのミッションは、県立花巻北高校の生徒が参加して考える。また今年4月から2年間、24年の打ち上げを目指す衛星開発を実践の場として活用したカリキュラムを展開し、生徒のキャリア形成、宇宙開発や科学分野への興味関心を高める。

 地場産業プログラムでは、地場産業と協力して花巻の観光や伝統産業などに「宇宙」の要素を組み合わせた新たな商品やサービスの開発を行い、花巻の認知度向上や新ビジネスの創出を仕掛けていく。今後賛同する企業、プログラム企画の立案・実行を担う若者らも募る。

 プロジェクトは、花巻の魅力を再認識し国内外に発信したいと、安藤代表が同市出身の宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」に着想を得て永崎社長に打診したのがきっかけ。20年から協議を重ね、Space BDの衛星打ち上げ事業、地域産業振興、教育事業から得た知見を生かして立ち上げた。昨年12月にはスタートアップ事業として同校1、2年生を対象に永崎社長による基調講演、社員による宇宙飛行士体験型ワークショップが行われている。

 15日に市内のホテルで開かれたプロジェクトの記者発表会で、安藤代表は「宇宙をテーマにした地域協創の取り組み。多くの人に参加してもらい一緒に花巻を盛り上げたい」と述べた。永崎社長は「花巻の世界に誇るプロジェクトになると確信している。持てる力をかけてプロジェクトに貢献していく」と語った。

 同校の川村俊彦校長は「花巻から宇宙時代を支える人材育成に努めていきたい」と語り、生徒会長の佐々木芽依さん(2年)は「驚きと戸惑い、すごいことが始まるというわくわく感が高まっている。花巻北高の生徒は岩手一、日本一宇宙に近い高校生になる」と期待を膨らませた。

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