患者らに屋内で花見を 飲食店などプロジェクト ディナー売り上げ 桜購入費活用【北上】
北上市近郊の飲食店などで構成する実行委員会は、今春も病気、障害などで花見に行けない患者や家族に桜の木を届ける「つながる北上さくらプロジェクト」を展開する。市中心部の店内で桜をめでながらディナーを味わい、売り上げの一部を寄付金として桜の購入費に充てる。28日から2週に分けて実施し、実行委では取り組みの輪を広げていく。
飲食業のアリーブ(同市)、医療用ガス製造販売の北良(同)、花関連業Lamb’s(ラムズ、花巻市)、多種類の野菜を扱ううるおい春夏秋冬(北上市)の4団体と個人2人で実行委を構成。展勝地に代表される北上の重要資源である桜を、寄付を活用して患者らにも施設や自宅に居ながら楽しんでもらおうと2020年から企画し、3年目となる。
今年もアリーブが運営する、同市本通り1丁目のときよじせつONODERA(小野寺伸也店主)でディナーを提供。
第1弾は28日~4月2日でソメイヨシノが、第2弾は11~16日に八重桜がそれぞれ店内に飾られる。外での開花前、店内で一足早くゆったりと桜を楽しむことができる。
県産食材にこだわった三つのコースメニューで税込み1人6000円(7品)、8000円(8品)、1万1000円(10品)。うち1000円が寄付に充てられる。
新型コロナウイルス感染拡大で県の緊急事態宣言中でもあり、いずれの日も定員は8人に限定。完全予約制で、感染対策に万全を期して開催する。
2年目の昨年は、がん患者をはじめ寝たきりの患者など市内の3軒に桜を届けた。関係者は「つぼみの状態から一日一日咲くのを待ち、楽しみにして喜んでくれた。本人だけではなく、家族の癒やしにもなった」と強調する。
実行委事務局を務める小野寺店主(44)も19年にがんで父親を亡くしたが、最期は楽しみにしていた桜を見せてあげられなかったという。「外に出ることができない患者さんが桜を楽しめるよう、みんなで取り組みをつなげていきたい」と思いを語っている。
ディナーは午後6時から。予約は実行委、同店の予約専用サイトまたはフェイスブック、インスタグラムから。
店内には募金箱を設置するほか、来店できない人向けに協賛金を募っている。協賛金の送り先は、Paypay銀行つばめ支店(店番コード006)1472519。