花巻

園舎改装し直売所に 6月オープン目指す 島のやさいプロジェクト【花巻】

築約70年の旧島保育園の園舎。地場野菜直売所に生まれ変わる
「島のやさいプロジェクト」で作業に励む参加者

 花巻市の野菜農家押切義幸さん(63)は、現在は使われていない築約70年の旧島保育園(同市東十二丁目、現島こども園)園舎を活用し、地場野菜直売所に生まれ変わらせようと、準備を進めている。6月ごろのオープンを目指して「島のやさいプロジェクト」と銘打ち、今年に入ってから改装を始めた。季節の野菜を材料とした料理教室や農作業体験なども開催し、新たなコミュニティーが生まれる場をつくる。

 押切さんは、自家栽培野菜を使った漬物を製造、販売する同市東十二丁目の「押切食品」の元会長で、2021年で退いた。これまで続けてきた農薬や化学肥料を使用しない自然栽培での野菜作りを生かし、地域の産業貢献の一助になればと野菜直売所の構想を練ってきた。

 園舎は、1953年に建てられた木造平屋建てで、新園舎への移転のため使われなくなった建物を、妻富美子さん(64)の父が買い取り、作業場や農機材の置き場としていた。この園舎では、富美子さんが子供時代を過ごしたという縁もあり、古いものをよみがえらせようと、「いわて県空き家管理協議会」の中村吉秋代表(49)の指導の下、改装に着手。インターネット交流サイト(SNS)で募ったメンバーらと共に、作業を進めている。

 今月15日には、市内外の10人が集まり、トイレの床に使う板材のやすり掛けやオイル塗り、壁塗りなどを行った。作業に数回参加している奥州市のカフェスタッフ、千葉雅依佳さん(30)は「古い建物を活用し、人を集められたらすごく良いと思う。少しでも協力し、盛り上げられたらうれしい」と話す。

 直売所の名前は「島のやさい」。木や自然の物を生かし、古民家風の雰囲気を持ちながら清潔な空間づくりを目指す。押切さんが作る野菜を中心に、年間を通し約50種類を並べる予定。近隣農家が栽培する野菜を置くことも検討している。作業スペースも併設する。

 中村代表は「仕上げ材として採用しようとしているのは、70年間日を浴びることのなかった古材。かつて園児を支えた古材が主役に躍り出る」と完成後に期待する。

 押切さんは「直売所としての機能だけでなく、ここで会話が育まれ、自然栽培の野菜のおいしさや正しい食べ方などを伝える場となればいい」と願いを込める。

 次回の作業は4月9、10日の予定。詳細、問い合わせは同プロジェクトのインスタグラムかフェイスブックへ。

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