北上・西和賀

成田神楽、築舘大乗神楽 無形民俗文化財に指定 北上市

式舞の一つ・岩戸開きを演じる成田神楽保存会員(北上市教委提供)

 北上市は、市指定無形民俗文化財に成田神楽(成田)と築舘大乗神楽(二子町)を指定した。ともに長く継承活動を続け、「市の地域的特色を示す民俗芸能として貴重」と評価された。

 成田神楽は文政年間(1818~30年)に岳神楽の流れをくむ石鳥谷八幡神楽の教えを受け、式舞を中心に十数演目を伝承。岳神楽の舞の形を継承しつつ三陸地方の神楽にみられる道具立て、北上地方の大乗神楽の権現頭を使用するなど、さまざまな影響を受け現在の形態となった。現在は十数人で活動し、毎年2月の火防祭では北上、花巻両市の成田地区の約200戸で門打ちしている。

 築舘大乗神楽は1966年、更木地区の北上川堤防工事に伴い移転した人々が新たに二子町築舘地区で活動を開始。近隣の宿大乗神楽に師事し幕神楽を次々と習得し、2019年には「法印」の資格を得て最高位の祈祷(きとう)舞・榊(さかき)舞を習得した。現在は会員21人で、15演目を伝承。火防祭での祈祷や例大祭の奉納など、地域の暮らしに欠かせない存在となっている。

 市文化財保護審議会の答申を受け、市教委は3月30日付で指定。これで市の無形民俗文化財は31件で、06年の伊勢流黒岩太神楽以来16年ぶりの指定となる。市指定文化財総数は119件。

 市役所で同日行われた認定書交付式で、平野憲教育長は「少子高齢化による後継者不足、コロナ禍で発表の機会がないなど課題はあるが、今後も継承活動に尽力いただきたい」と語り、保持団体となる成田神楽保存会の伊藤勝彦会長(50)と築舘大乗神楽保存会(藤巻秋寿会長)の及川正男師匠(73)に認定書を手渡した。

 伊藤会長は「会にとって非常にうれしいこと。舞初めが1824年9月で、再来年に200年記念公演ができるよう絶やすことなく継承し、新しい舞も少しずつ覚えながら活動したい」と決意を語り、及川師匠も「夢にまで見た認定書をいただき光栄。無形民俗文化財は保存会員の大きな目標の一つで、大きな驚きと責任を感じている。その名に恥じぬよう、今後もさらなる修業と研鑚(けんさん)に努める」と誓った。

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