第2製造棟着工 次世代メモリ生産 総投資額1兆円 キオクシア岩手
半導体大手・キオクシア(本社東京都港区、早坂伸夫社長)子会社のキオクシア岩手第2製造棟(K2)の起工式は6日、北上市の北上工業団地内で行われた。K2では最新の設備を導入し、次世代の第6世代以降の最先端3次元フラッシュメモリを生産。生産規模は第1製造棟(K1)とほぼ同規模で、総投資額も同様に1兆円に上る見通し。2023年の竣工(しゅんこう)、稼働開始を目指し、巨大プロジェクト第2弾が始動した。【社会面に関連】
K2は、現在第5世代の3次元フラッシュメモリを生産しているK1の東側に整備。北上工業団地の拡張エリアに加え取得した県道、市道、民間の土地を合わせた15ヘクタールで6日、本格着工した。
K1より高層となる7階建ての高さ66メートルで、1階部分の建屋面積はK1よりコンパクトな約3万1000平方メートル。生産ラインをK1と連結し工場全体の生産性を増強し、K1と合わせた生産規模は2倍程度になりそうだ。
人工知能(AI)を活用し、膨大なデータを解析。世界最高水準の生産システムを導入し、生産性や品質向上を目指す。環境面も重視し、再生可能エネルギーも積極活用する。
K2と併設し管理部門・技術部門が入る管理棟も建設する。地上13階建て、地下1階建てで、延べ床面積約3万9000平方メートル。将来的な人員増を見据え、約2000人規模の執務スペースを備える。北側には電気や水、ガスを供給する動力ヤード、倉庫などの付帯施設も併せて建設する。
K1とK2を合わせた敷地面積は約30ヘクタール、東京ドーム6個分に上る。現在の従業員は1450人。キオクシアホールディングスはコロナ禍でもマーケットを着実に拡大し、21年は過去最高の売上高1兆4274億円を計上した。
フラッシュメモリ市場は今後も中長期的拡大が見込まれ、同社は業容拡大に向けK2でも1000人超の雇用を計画。製造棟はさらなる拡大が見込まれ、同社はK2南側にも民間の土地を取得済み。K1北西部では、市が北上工業団地拡張エリアの25年度分譲開始へ整備を進めている。
現地付近の北部交流館で行われた起工式にはキオクシア社員と県、市、地元の関係者、施工業者ら約40人が出席。早坂社長がくわ入れを行い、達増拓也知事、髙橋敏彦市長、施工業者を代表し清水建設の井上和幸社長が玉串をささげた。
早坂社長は「新製造棟を計画通り立ち上げ、世界中の人々の生活をより豊かにするとともに、北上の地域経済活性化、雇用拡大にも貢献していけるよう頑張りたい」と強調。達増知事、髙橋市長とともにK2着工を歓迎し、課題の人材確保に万全を期す考えを示した。