花巻

宮沢賢治の視点考察 牛崎さんが基調講話 富士大公開授業【花巻】

富士大公開授業の初回講義で基調講話する牛崎さん

 富士大(岡田秀二学長)の公開授業「宮沢賢治から考える」は11日、花巻市下根子の同大で始まった。全15回の講義で、花巻で過ごした国民的童話作家で詩人、農芸化学者、教育者である宮沢賢治を通して、人間の生き方に対する根源的なテーマを多様な観点から総合的に考察する。

 初回は「『宮沢賢治から考える』視点」と題して宮沢賢治記念館学芸員の牛崎敏哉さんが基調講話。講義を聴講する上で押さえておきたい視点として、賢治の「先見性」「宇宙的感覚」「人々の幸せへの思い」の三つを挙げた。

 中でも先見性について、冷害に苦しむ農民を救うために主人公が命を犠牲にして火山を人工的に噴火させ、二酸化炭素を噴出させて地球温暖化を引き起こし暖かい夏を呼び戻した物語「グスコーブドリの伝記」を例に上げ、「多くの人が読む童話の中で、現在のわれわれが未来への課題として抱える地球温暖化と二酸化炭素との関わりを今から100年も前に取り上げている」と指摘。「講義ではさまざまな分野から学ぶがその中には天才的な先見性が隠されている。賢治を学ぶ上で大切なこと」と語った。

 公開授業では▽賢治のプロフィール▽教育・科学・思想・宗教▽賢治の世界(作品)▽賢治とまちづくり―など、多角的な観点から賢治について学ぶ。次回は同大副学長の中村良則さんが「宮沢賢治を育んだ花巻」と題して講義する。

 講義の様子は花巻ケーブルテレビで放映。動画投稿サイト「ユーチューブ」の同大広報チャンネルでオンライン配信する。問い合わせは同大総務・統括部=0198(23)6221=へ。

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