北上・西和賀

国見山廃寺五重塔 実像具現化へ活用を 復元図面、市に寄贈 県建築士会北上支部

国見山廃寺五重塔の復元図面などを掲げる菅原支部長(右から2人目)ら

 県建築士会北上支部(菅原紀昭支部長、会員97人)は12日、平安時代の北東北最大の寺院跡で国指定史跡・国見山廃寺(北上市稲瀬町)の五重塔復元図面を市に寄贈した。今後、五重塔の模型作製や復元といった具現化へ、市の強力なバックアップを求めた。

 平泉文化の150年以上前に仏教文化が栄えていたといわれる国見山廃寺の堂塔群の実像を明らかにしようと、同支部では長年、地形模型図、外観復元図の作製や、各堂跡の解説パネル設置などに取り組んできた。中でも高さ推定27メートルで同寺のシンボルといえる五重塔は、社寺物件を専門とする社寺工舎(遠野市)の申し出もあり、外観復元図を基に2019年から3年がかりで完成させた。

 復元図面は立面図、断面図、平面図、詳細図など計25枚に上る。国立歴史民俗博物館の濵島正士名誉教授の監修で、構造形式や洋式手法、各部の寸法は同時期に建立された平安時代の醍醐寺五重塔(京都府、951年)にならったという。

 同日は菅原支部長(68)と、同支部まちづくり委員長の菊池元宏さん(54)、同委員の加藤康久さん(74)が市役所を訪問。3人は「ずっと復元したい意識で取り組んできた。9万市民の夢として、ぜひともこの図面を生かしていただきたい。市長として夢を育むリーダーシップに期待したい」と、髙橋敏彦市長に図面を託した。

 市長就任前、建築士として同事業に携わっていた髙橋市長は「大変貴重な図面を頂いた。国見山廃寺の研究は成果が出てきている。ぜひ、次の段階に生かしていきたい」と応じた。

 同支部によると展勝地開園100周年に合わせ、10分の1サイズの五重塔の模型を造る構想もあったという。

 同支部は全体の復元を最終目標としつつ、まずは模型づくりへ動いていく。

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2024年5月17日付
北上・西和賀
2024年5月17日付
北上・西和賀
2024年5月17日付
北上・西和賀
2024年5月17日付