北上・西和賀

擁壁に亀裂、道路変状進行 国道107号(西和賀町内)全面通行止め1年 応急盛り土工事完了 本復旧へ対応急ぐ

道路変状が確認される西和賀町内の国道107号
錦秋湖北側は地滑りを抑制するための盛り土工事が行われた

 県南広域振興局土木部北上土木センター(及川郷一所長)は22日、崖崩れの恐れがあるとして西和賀町内の国道107号が全面通行止めとなってから1年が経過するのを前に、報道陣に現場を公開した。国道は路面やコンクリート構造物などが激しく損壊。一方で、地滑りを抑制する応急盛り土工事は既に完了した。今後は交通確保のための仮橋を含む仮設道路の建設、トンネル化による国道の本復旧に向けた対応を急ぐ。

 同町大石地区の国道107号は、2021年5月1日の地震の影響で道路のり面に変状が確認され、道の駅錦秋湖付近から天ケ瀬橋まで4・9キロ区間にわたり通行止めが続いている。

 同センターによると、国道を含む幅170メートル、高さ160メートル、奥行き290メートルの広範囲で地滑りが想定されており、現地は道路やのり面に最大2メートルほどの段差が生じているほか、路面や擁壁などに亀裂が入り、ガードレールが断裂。確認された当初よりも変状は進行しており、県は横ボーリングによる水抜きや、錦秋湖北側への盛り土工事などの地滑り対策に取り組んできた。このうち約12万立方メートルの盛り土は錦秋湖の水位を下げた状態で実施され、22年3月末で完了した。

 今後は錦秋湖を横断する仮橋(470メートル)を含め、国道と県道ゆだ錦秋湖停車場線を接続する延長790メートルの仮設道路を作る計画で、現在は工事に向け作業道路や船着き場などを整備中。仮設道路は今年の積雪期前までに完成、供用開始する見通しだ。

 これと並行し、地滑り箇所を回避する形で国道にトンネル(1470メートル)や橋などを整備する災害復旧事業も進める。事業期間は26年度までで、事業費は約130億円が見込まれている。

 及川所長は「通行止めから約1年、さまざまな調査や対策工法の検討などを進め、盛り土工事を終えたことで安全性は保たれている。本格的な国道の復旧に向けた準備工事は既に発注している。今後も関係機関と連携し、体制を整えていきたい」と話した。

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