高病原性インフル疑い エミューなど10羽殺処分 岩手サファリパーク【一関】
県は12日、一関市の施設で飼養する大型の鳥「エミュー」を遺伝子検査した結果、致死率の高い高病原性とみられる鳥インフルエンザ感染を確認したと発表した。感染拡大防止のため、施設のエミューとダチョウ計10羽の殺処分を実施。半径10キロ圏内の養鶏農場に対し、鶏や卵の移動などを制限する防疫措置を取り、封じ込めを図る。
鳥インフルが発生したのは、同市藤沢町の岩手サファリパーク。同園がホームページで公表した。
県などによると、同園では10日までにエミュー3羽が死亡。県が簡易検査を実施したところ、死んだ2羽で陽性となったことから、遺伝子検査を実施。12日に「陽性」と判明し、高病原性の疑いがある「疑似患畜」と確定した。国の研究機関で最終的な確定検査を行っている。
疑似患畜の確定を受け、県は同日午前9時に対策本部を設置。同施設で生存しているエミュー2羽、ダチョウ8羽の殺処分を行い、同日午後6時10分に完了した。
感染拡大防止のため、半径10キロ圏内にある100羽以上の養鶏場16戸を対象に移動制限を実施。同3キロ圏内を鶏や卵の移動制限区域、同3~10キロ圏内を搬出制限区域に指定した。防疫措置の完了後、3週間程度経過で解除する方針。
このほか、施設の半径3~10キロ圏内で、市内5カ所と宮城県登米市の1カ所に消毒ポイントを設置。県職員らが24時間体制で畜産関係車両を消毒する。
同日に県庁で開かれた対策本部会議で、達増拓也知事は「県民に不安が生じないよう防疫対策を迅速に実施し正確な情報発信に努める」とした。
環境省は12日、同施設半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定。県では区域内の野鳥主要飛来地を巡回し、監視を強化する。
一関市藤沢町の岩手サファリパークは12日、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことを受け、防疫対策として、6月3日まで臨時休園とすると発表した。
同園ではクジャク、フラミンゴなどの鳥類約80羽を飼育。疑似患畜の確認を受け、家禽(かきん)であるエミューとダチョウが殺処分の対象となった。エミューとダチョウの飼育スペースは異なり、互いに接触することはなかったという。
殺処分対象外の鳥類については、経過観察を実施。現時点で異常は確認されていない。今後は県などの指導の下、臨時休園し防疫対策を行う。同園では「これから遠足などのシーズンが始まるので残念ではあるが、対策を行わなければならない。多くの人に迷惑を掛けるが、理解を頂きたい」としている。