北上・西和賀

謎多き額田王掘り下げ 詩歌文学館 講座開始 万葉集女性歌人題材に【北上】

古典文学講座で万葉集の女性歌人について解説する佐々木さん

 日本現代詩歌文学館が主催する2022年度の古典文学講座は11日、北上市本石町の同館で始まった。日本最古の和歌集である万葉集などを多角的に考察する講座で、今年度は「万葉集の女性歌人」について6月までの全6回にわたって学びを深める。

 16年から継続している恒例の講座。講師は、県立大名誉教授で同館運営協会評議員を務めている佐々木民夫さん。1947年、一関市出身で盛岡市在住。「万葉集歌のことばの研究」など多くの著書がある。

 佐々木さんは、万葉集は舒明天皇が即位した629年から130年間、飛鳥・奈良時代に生きた幅広い人々の歌を集めた和歌集であるとした上で、「数は4516首。全て漢字で書かれており、いまだに日本語として読み解けない歌がある」と語った。

 今講座では、年代別に分けられた4期それぞれの女性歌人6人の歌を通して、言葉の持つ意味や時代背景などを解説していく。

 初回に取り上げた額田王について佐々木さんは、「古代史の中で最も有名な女性の一人だが、生没が不明など謎の多い人物。類推すると631年生まれではないか」とし、代表的な歌「あかねさす 紫草野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」を紹介。色っぽい女性というイメージが定着した歌だが、公的な歌を収めた「巻一」にあることから宴席で披露されたものではないかと説いた。

 さらに、「天皇の心に成り代わって公的な場で歌う代作歌人としての面もあることから、深い知識と教養があったと思われる」と強調した。

 講座には市内外から約30人が受講。次回以降は大伯皇女、但馬皇女、大伴坂上郎女、狭野弟上娘子、東国の女性を取り上げる。

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