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銀河系中心方向 ガス多く激しく変動 解析に5年 天の川ブラックホール撮影 

天の川銀河(左、想像図)の中心にあるブラックホールの画像(右)。「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が初めて撮影した(EHTコラボレーション、NASA、ESOなど提供)

 国立天文台などが参加する国際研究チームが撮影に成功した銀河系(天の川銀河)中心にあるブラックホール「いて座Aスター」。地球から約2万7000光年と最も近くにあるブラックホールだが、周囲のガスが目まぐるしく変動するため解析が難しく、画像を得るまでに5年を要した。

 極めて強い重力のため、光さえ脱出できないブラックホールそのものを見ることは本来不可能だが、周囲のガスなどが放つ電波を観測し、「影絵」の要領で「見る」ことはできる。そのためには、ブラックホールの影を見分ける視力(分解能)を持つ電波望遠鏡が必要だ。

 分解能は、望遠鏡の口径が大きいほど向上する。国際研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」は、世界6カ所、8局の電波望遠鏡の連携で「地球サイズの仮想的な巨大望遠鏡」を構築。地球から月面のゴルフボールを見分けられる分解能を実現した。この際、得られたデータから画像を作成するため、複雑な解析が必要となる。

 EHTは2017年4月、いて座Aスターとともに約5500万光年離れた銀河「M87」のブラックホールも観測。並行して解析を進めたが、2年後に画像が発表されたのはM87の方だった。

 EHTメンバーの秦和弘・国立天文台助教によると、いて座AスターはM87のブラックホールに比べると1000分の1以下で、ブラックホールの中では「最小クラス」という。周囲のガスが目まぐるしく変動するため、新たな解析手法が必要になったほか、銀河系の中心方向にはガスが多く漂い、観測の妨げになったとしている。

 秦助教は2例目となるブラックホールの撮影について、「大小、両極端のブラックホールを撮影できた。今後はブラックホールの多様性の原因が何かを明らかにすることが課題となる」と話した。【時事】


撮影成功は大きな意義 達増知事

 達増拓也知事は13日の定例会見で、「水沢にある国立天文台も『岩手の宝』。ブラックホールは天体の現象の中でも非常に興味深く、素粒子物理学などいろんな分野に関係がある。一般の人にも分かりやすく伝える写真撮影に成功したのは、非常に大きな意義がある」とコメントした。

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