北上・西和賀

妊産婦ら 母娘で支援 総菜店&育児相談拠点 八重樫さん開業・二子【北上】

妊産婦らを対象に総菜店をオープンした八重樫優美さん(左)と育児相談等の拠点を設けた母重子さん(右)。右側のスペースは母親の相談や子供たちの遊び場となる

 北上市二子町矢白に、妊産婦や子育て世帯を主な対象とした手作り総菜店「なないろキッチン」がオープンした。栄養士の八重樫優美さん(40)が地元食材を中心に腕を振るい販売、配達し、併設する「にこにこ助産婦」では助産師の母重子さん(67)が育児相談などに応対。母と娘が互いの強みを生かしてタッグを組み、栄養面と育児相談の両面で子育て中の母親らを支える。

 優美さんは栄養士として、花巻市内の病院に10年近く勤務。妊産婦を対象に家事、育児をサポートする民間資格・産後ドゥーラを取得し、NPO法人「まんまるママいわて」では妊産婦対象の料理教室を企画し、講師を務めてきた。

 一方、重子さんは長年県立病院で助産師を務め、2008年に退職後は訪問専門のにこにこ助産婦を開業。市から産後ケア事業などの委託も受け、母乳育児支援や育児相談全般に対応している。

 優美さんは独立を考え、訪問主体の重子さんも母親が気軽に相談に来れる拠点づくりを模索する中、優美さんが21年度の市の起業家支援プロジェクトに応募。新事業創出支援事業補助金に採択された。昨年末で病院を退職して開店準備に奔走し、自宅の小屋を改修して今年4月中旬にオープンした。

 総菜は一日に主菜、副菜、魚類の計7、8品目をバランスよく日替わりで作り上げ、北上市北部を中心に妊産婦や産後の母親、子育て中で仕事復帰した女性などに配達。地域の農家、住民なども買いに訪れるという。

 優美さんは娘2人の子育て中で、夫や父親の助けも得ながら仕入れから総菜作り、パッキング、配達もこなす。店名のなないろキッチンは小学5年の長女夏姫(なつき)さん、1歳の次女采晴(いろは)ちゃんの名にちなみ、幸せと希望の象徴である七色の虹から取った。子育てと仕事を両立する母親の労苦を肌で知るだけに、「できるだけ地元産にこだわり、親しみのあるものを作っている。ニーズが広がり、リピーターも増えてきてありがたい」と手応えを語る。

 重子さんにとっても、待望の拠点ができた。店内の畳のスペースは、母親の相談や授乳にも活用。絵本や身長測定器もあり、子供の遊び場にもなる。オープンから1カ月がたち、赤ちゃんを連れてきて発達状態や栄養面の話を聞いていく母親もいるという。

 今回のオープンは、長年の母娘共通の夢だった。順調に滑り出し、優美さんは「家族がいるからこそできる。ここ(北上)で子育てしたいと思える親御さんが少しでも増えてくれれば」と願い、重子さんも「訪問に出向いてもいいし、こちらに来てもらってもいい。お母さん方が元気になるよう、地域に根差して活動していきたい」と話している。

 なないろキッチンは日、月曜、祝日が定休日。土曜は不定休。営業は午前11時30分~午後7時、電話=070(8462)7922=、にこにこ助産婦は月―金曜日の午前9時~午後5時。緊急時は要相談。電話=090(4044)8119=。ともに北上市二子町矢白52。

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