一関・平泉

豊かな自然 後世へ 3年ぶり、全国から800人 室根・矢越山 森は海の恋人植樹祭 【一関】

全国から約800人が参加して開かれた「森は海の恋人植樹祭」

 第34回「森は海の恋人植樹祭」は5日、一関市室根町にある矢越山のひこばえの森で開かれた。新型コロナウイルスの影響で、一般が参加しての実施は3年ぶり。森から川、そして海へとつながる生態系保全の取り組みに賛同する約800人が全国から集まり、豊かな森になることを願って広葉樹の苗木を植えた。

 宮城県の気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根地域に植樹することで、カキが育つ豊かな海にしようと漁師らで結成した牡蠣(かき)の森を慕う会が1989年から開催。現在はNPO法人森は海の恋人(畠山重篤理事長)と、地元の室根町第12区自治会(三浦幹夫会長)が中心となって継続している。

 コロナ禍で2020、21年は主催団体の関係者らのみで植樹したため、大人数が協力しての作業は久々。晴天の下、ひこばえの森交流センターで行われた開会式では、上折壁子ども打ち囃(ばや)しがオープニングを飾り、参加者を歓迎した。

 三浦会長は「地球環境を後につないでいくという思いがこの植樹祭。地球と人間の関わり、環境の大事さをもう一度思い直す一日にしてほしい」とあいさつ。植樹の取り組みについて畠山理事長は「森から海までを一つの系とする考えが、三十数年を経て認められるようになった。生き物を大事にしようとする心がつながり、日本中に浸透してきた」と実感を語った。

 参加者は登山を兼ね植樹会場まで30分ほどかけて移動し、大漁旗がなびく約50アールの山地にミズナラやカツラ、ミズキなど1000本を超える苗木を植えた。「室根自然愛護少年団」を組織する室根小学校5年の小山凌聖君(10)は、「植樹は楽しいし、活動についても勉強になった。大きく育ってほしい」と積極的に何本も定植していた。

 この日は「森里海連環学」を提唱する田中克・京都大名誉教授、米スミソニアン環境研究所のデニス・ウィグハム上席植物学者らも参加。同センターでは「春の水車まつり」も同時開催され、来場者が出店での飲食や高校生による郷土芸能、太鼓演奏といったステージ発表などを楽しんだ。

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