３年ぶり頂に舞う 早池峰山 山開き
花巻、遠野、宮古の３市にまたがる北上高地の最高峰・早池峰山（１９１７メートル）で１２日、山開きの山頂神事が営まれた。山頂での神事は新型コロナウイルス症の影響で３年ぶりの実施。本格的な夏山シーズンに向け、山頂を目指す県内外の登山者でにぎわった。
同日は早朝から家族連れや愛好者ら約３００人が登山に訪れた。遠野市の小田越登山口から岩肌にかれんに咲く高山植物を楽しみながら思い思いのペースで登っていくと、約２時間ほどで巨大な１枚岩を鉄製のはしごで上る「鎖場」に。９合目からは平坦（へいたん）地が続き、宮古市の門馬登山口からの登山者と合流し、広がる残雪を踏みしめて頂上に到着した。
山頂からは景色を望めなかったものの、早池峰神社奥宮で営まれた安全祈願祭には多くの登山者が参列。神職が祝詞を上げ、関係者が玉串をささげたほか、花巻市大迫町の岳神楽保存会が権現舞を奉納した。
中学生の頃から早池峰山に登ってきた菅野愛子さん（７５）＝釜石市＝が一般登山者を代表して玉串をささげ、「山開きの日の登山は３年ぶり。早池峰の魅力は豊富な高山植物。ハヤチネウスユキソウが見頃を迎える７月ごろにはもう一度登りたい」と笑顔を見せた。
安全祈願祭は、新型コロナ感染拡大の影響で過去２年は山頂での神事を見送り、麓の早池峰神社で関係者のみで行ってきた。岳神楽保存会の小國朋身会長（６３）は「雨予報で入山式や山頂での神事がどうなるか不安だったが、風もなく穏やかな山開きを迎えられた。今年一年の安全、そしてコロナ退散の祈りを込めた」と話した。
山開きに先立ち、小田越登山口で行われた入山式では、３市の代表者がテープカットしてシーズン到来を祝った。
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