奥州・金ケ崎

ブラックホール題材に 南部鉄器鋳造を体験 水沢VLBI観測所本間所長【奥州】

南部鉄器の鋳造を体験する本間所長(右)

 奥州市水沢星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長は14日、水沢の伝統工芸・南部鉄器の鋳造を体験した。同観測所が若手研究者支援などのため実施しているクラウドファンディング(CF)の出資者に感謝を伝えようと、寄付の返礼品を手掛ける同市水沢羽田町宝生の及富で実施。本間所長が世界初の撮影に大きく貢献したブラックホールシャドウを題材にオブジェを作り、天文への関心と同市のPRにもつなげる。

 同観測所は4月20日~6月17日の期間、CFサイト「READY FOR」で寄付を募っている。国の科学予算が頭打ちとなる中、複数の財源を持ち、若手研究者の支援や研究の普及広報などに生かそうとの趣旨で、同天文台では初のCF実施。寄付が有効となる当初の目標額(1000万円)は既に達成し、14日現在で約2600万円が寄せられている。

 及富はこれまでも「ブラックホール鉄瓶」を製造し、CFの返礼品にはオリジナル南部鉄器を寄せており、今回も協力。

 本間所長は自ら砂型を整え、溶けて1500度ほどとなった鉄を型に流し込む作業も従業員の手を借りて体験。オブジェと自身の手形を作った。

 鉄はブラックホールになれない質量の恒星が一生を終える際に核融合反応で生成されることもあり、宇宙とも縁があるという。オブジェはくっきりと円形が出たため、本間所長は「(最初に発表した)M87銀河のブラックホールかな」と出来に満足の様子。「20世紀の物理学は溶鉱炉の温度を調べることから発展したが、その現場を生で見られた。職人が長い間培い、手作りでやってきたことを体験し、直接見させてもらい感動的だった」と作業を振り返った。

 寄せられている多額の支援には「予想をはるかに超えており感謝を申し上げる。貴重な資金を若手研究者の環境改善に生かし、新たな成果を挙げられる良い流れをつくりたい」と話した。

 作業の様子は同観測所と及富が動画や写真に撮影。「READY FOR」の同観測所のページなどで公開する。作品は仕上げを経て、同観測所に置かれる見込み。

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