北上・西和賀

両脇侍像を修復 東日本鉄道文化財団が助成 如意輪寺釈迦三尊【北上】

県指定有形文化財の木造釈迦三尊坐像。中尊(釈迦如来)両脇侍で、破損している騎獅文殊菩薩(右)と騎象普賢菩薩が修理される
承認書を交付した東日本鉄道文化財団の太田専務理事(右)と受領する実行委の菊地副委員長

 北上市稲瀬町の如意輪寺(菊地英宏住職)が所有する県指定有形文化財「木造釈迦(しゃか)三尊坐像(ざぞう)」の両脇侍像の修理事業に、東日本鉄道文化財団(小暮和之理事長)の助成が決まった。6月28日は同寺で助成承認通知書の贈呈式が行われ、地域の貴重な文化財保護へ思いを共有した。

 鎌倉時代前期の13世紀中ごろ、運慶らの仏師の系譜「慶派」仏師が製作したとみられ、当時の最新流行である宋文化の影響を強く受け、歴史的にも文化的にも価値が高いとされている。

 同坐像は、現在の同寺東側に所在した釈迦堂(現在は礎石のみ)にあったとされ、明治時代に釈迦堂が傷み同寺で維持管理されている。中尊の釈迦如来の保存状態は良好だが、両脇侍の騎獅文殊菩薩(ぼさつ)と騎象普賢菩薩は頭部などに破損がある。同寺では修復を模索し、市にも相談してきた。

 同財団は申請を受け、「地域の歴史と貴重な文化を後世に末永く継承する有意義な事業」として承認した。2022年度は168万円を助成し23、24年度も同様に支援の見通し。

 修理は24年度までの3カ年事業で総額1163万円。同寺とJR盛岡支社、学識経験者、市による同修理事業実行委員会を組織し、委員長に菊地住職を選出した。

 贈呈式で、同財団の太田稔専務理事は「(JR)盛岡支社、北上駅長などから熱烈な推薦があり、有識者が集まる選定委員会の審議で、各地から大変多くの希望の中から満場一致で支援が決定した。日本の歴史、文化を守る素晴らしい活動で未来の子供たちにもしっかり受け継がれ、大事にしていくことを願う」と語り、承認書を同寺前住職で実行委の菊地英寛副委員長に交付した。

 菊地副委員長は「15年ほど前から助成事業団体に申請してきた。補助を頂き、ようやく修復ができる。皆さんの気持ちを早く形にしたい」と謝意を示した。

 同寺では3年前から来訪者に寄付を募り、これまでに15万円ほどが寄せられており、修復に役立てる。このほか住友財団の助成も決まっている。修復作業は東京都内の専門業者に委託され、24年8月に完成し同寺に戻る見込み。

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